イーサリアム次期大型アップグレード「ペクトラ」は2分割で実施か
イーサリアム(Ethereum)の次期大型アップグレード「ペクトラ(Pectra)」が、2分割での実施が検討されている。このことは、9月12日に行われた開発者会議で取り上げられた。
同開発者会議「Execution Layer Meeting」は、イーサリアムの実行層(EL)に関わる開発者が定期的に開催するオンライン会議。YouTubeで生配信を行いながら開催されている。
なお「ペクトラ」は、実行層の「プラハ(Prague)」アップグレードおよびコンセンサス層(CL)の「エレクトラ(Electra)」アップグレードを合わせた名称である。
これまでの予定では、「ペクトラ」の実施は2025年の第1四半期の末に設定されていた。しかし、この分割が実際に選択された場合、前半のアップグレードは第1四半期の初めである2月にリリース可能であるとのことだ。
この分割案が検討されている理由は、「ペクトラ」がこれまで行われたイーサリアムのアップグレードの中で最も大規模なものになる可能性が高く、実装とテストを1回で行うには時間がかかりすぎる可能性があることに加え、高リスクであるからだ。
しかしアップグレードを分割することにより、後半のアップグレードにより多くの実装が行われるようになり、次のアップグレードの実施がさらに遅れてしまう可能性が議論中で指摘された。その結果、アップグレードの範囲はこれまでの予定から広げることなく、それ以上の実装を行わないという方向でおおよその合意がとられた。
すでにほとんどのコア開発者はこの分割案に同意しており、同案は9月19日に開催予定の次の開発者会議である「Ethereum All Core Developers(ACD)コール」で決定する予定となっている。
また以前「ペクトラ」での採用が決定した、ヴィタリック提案のアカウント抽象化(AA)技術「EIP-7702」については、先日公開された開発者用ネットワーク「pectra-devnet-3」にてすでに有効化されており、現在はテスト利用可能の段階にあるとのことだ。
「EIP-7702」は、通常のアカウントとして利用されているEOA(外部所有アカウント)を、一時的にスマートコントラクトとして扱える仕組みを導入することで、既存のスマートコントラクトに追加の実装を行う必要がないというものだ。なお同提案は以前提案されていた「EIP-3074」に代わる案であり、提案後すぐに採用されることが決定した。
参考:イーサリアムマジシャンズ
画像:iStock/NatalyaBurova