テレグラムCEO、逮捕後初の声明発表。同社使命に同意できない国からは撤退の意志も

逮捕後初の声明発表

テレグラム(Telegram)のCEOであるパベル・デュロフ(Pavel Durov)氏が、8月のフランスでの逮捕以降、初となる声明を発表した。同氏がテレグラムのチャンネルにて9月6日発言している。

デュロフ氏によれば、仏パリに到着して4日間、警察から事情聴取を受けたという。その際フランス当局は、ユーザーがテレグラムを違法に使用したことの責任が同氏にあるかもしれないと話したという。しかし、それは当局がテレグラムからの返答を受け取らなかったためだとデュロフ氏は述べている。

デュロフ氏は同氏及びテレグラムがフランス当局と協力していた複数の事実を主張した。

まずテレグラムはEUに公式代理人を置いており、そのメールアドレスはEUの誰もが検索すればわかるように設定されていること。

次にフランス当局が、同氏に支援を要請するための多くの連絡手段を持っていたことをデュロフ氏は挙げた。フランス国籍のデュロフ氏はドバイのフランス領事館に頻繫に出入りしており、以前、フランス国内のテロの脅威に対処するため、テレグラムを使ったホットラインの開設を依頼され、個人的に協力したこともあるという。

さらにデュロフ氏は、「ある国がインターネットサービスに不満がある場合、そのサービス自体に対して法的措置を開始するのが一般的」とし、「スマートフォン以前の時代の法律を使って、CEOが管理するプラットフォーム上で第三者が犯した犯罪を告発するのは、誤ったアプローチ」だと今回のフランス当局の対応に苦言を呈した。

またデュロフ氏は「ツールを悪用された場合、個人的な責任を問われる可能性があるとわかっていれば、イノベーターは決して新しいツールを作らないだろう」と続けている。

デュロフ氏は、「プライバシーとセキュリティの適切なバランスを確立するのは容易ではない」が、「私たちは、適切なバランスを見つけるために、規制当局と協力してきた」し、「私たちは常に対話に対してオープン」だと主張している。

またデュロフ氏は、テレグラムの掲げる権威主義的な体制にあるユーザーを保護するという使命に合意できない管轄区域から撤退する意思も示した。実際過去にもテレグラムはロシアやイランからもこれらの理由から撤退している。

デュロフ氏は「私たちはお金のためにやっているわけではない」ので、「プライバシーとセキュリティの適切なバランスについて合意できない場合はその国から撤退する用意がある」とし、「私たちの原動力は、善をもたらし、人々の基本的権利を擁護するという目的であり、特に権利が侵害されている場所での活動に向けられている」と続けている。

またデュロフ氏は、テレグラムユーザーが急速に増えたことで犯罪者が私たちのプラットフォームを悪用しやすくなったとし、「この点を確実に大幅に改善することを個人的な目標にした」と述べた。

テレグラムチームはすでにその問題に着手しており、進捗状況の詳細については近日中に共有すると同氏は報告した。

デュロフ氏は8月24日、パリのル・ブルジェ(Le Bourget)空港で逮捕され仏国家詐欺対策局の捜査官によって拘留された。同氏には予備調査に基づき、フランスで児童の性的搾取に対抗する捜査機関OFMINから捜索令状が出されたとのことだった。

当局によれば、デュロフ氏は法執行機関と協力せず、テレグラムが提供するツール(使い捨て番号、暗号資産など)を利用していることから、麻薬密売、小児性愛犯罪、詐欺の共犯者であると考えているとのことであった。

参考声明
画像:iStock/Rawpixel・putilich

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者