暗号資産投資サービス提供「アブラ」が米SECと和解、未登録で証券販売の告発で

未登録で「アブラ・アーン」の募集および販売行ったとして

暗号資産(仮想通貨)投資サービス及び資産管理プラットフォーム提供のアブラ(Abra)が、米証券取引委員会(SEC)と和解した。SECが8月26日発表している。

SECはアブラとして営業していたプルータス・レンディングLLC(Plutus Lending LLC)に対し、同社のリテール暗号資産貸出商品「アブラ・アーン」の募集および販売の登録を怠ったとして、和解金を請求。さらにSECはアブラを無登録の投資会社として営業していたとして起訴したと報告している。

アブラは、SECの訴えを認めることも否定することもなく、証券法および投資会社法の登録規定に違反することを禁じる差し止め命令と、裁判所が決定する金額の民事罰の支払いに同意したとのことだ。

SECによれば、アブラは2020年7月に米国でアブラアーン(Abra Earn)の提供・販売を開始。同サービスでは、Abraが変動金利を支払う約束と引き換えに、暗号資産をアブラに預ける仕組みになっていたという。最盛期のアブラアーンの資産は約6億ドルで、そのうち約5億ドルが米国の投資家によるものだったという。

訴状によると、アブラは同サービスを、投資家が暗号資産の利息を「自動で」獲得する手段として販売し、アブラは投資家の暗号資産をさまざまな方法で使用する裁量権を行使し、自らの収入と利払いの資金を生み出していたという。SECはアブラアーンが有価証券として提供・販売され、その提供・販売はSEC登録の適用除外に該当しないと主張している。

またSECはアブラが有価証券を発行し、現金を除く総資産の40%以上を投資有価証券で保有していたため、少なくとも2年間は未登録の投資会社として運営されていたとも指摘している。

なおアブラの広報担当者は暗号資産メディアのザ・ブロック(The Block)に対し、この和解やAbra Earnの廃止によって損害を受けた消費者は全くいないと強調。未収利息を含む米国のアーン顧客の資産はすべて、2023年にアブラ・トレード口座に移管された報告し、アブラはSEC登録投資顧問会社「アブラキャピタルマネージメント(Abra Capital Management LP:ACM)」を通じて米国で事業を継続すると述べている。

参考:SEC発表The Block
画像:iStock/taa22

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者