マスターカードのCEOがLibra脱退理由を明らかに
Mastercard(マスターカード)のCEOであるAjay Banga(アジェイ・バンガ)氏がLibra協会から脱退した理由をFinancial Timesの取材で語った 。
バンガ氏は「Libraのマネタイズの仕組みが理解できないので、ビジネスとして支持することはできません。さらにLibraは金融包摂のための位置付けですが、独自のウォレットであるCalibraを利用してペイメントシステムを機能させるのは、個人的に納得できません」と答えている。
さらに、バンガ氏は「リブラ協会のメンバーが、本人確認手続き(KYC)やマネーロンダリング対策といったコンプライアンスをしっかり遂行できるかという点にも懸念があります」ともコメントしている。
編集部のコメント
Mastercardは2019年にVisaと共にリブラ協会を脱退しています。当初は28社が創設メンバーとなる予定でしたが、協会始動時には21社まで減少していました。
さらに2020年1月にVodafoneも脱退して、現在の参加企業は20社となっています。ここでMastercardのブロックチェーンに関する取り組みを振り返ると、2019年7月に同社はグローバル決済企業Transfast(トランスファスト)を買収しています。これにより、新興国を含めたMastercardの決済プラットフォームを利用できる企業が増えました。
さらに2019年9月にはCordaと連携して、ブロックチェーン基盤のクロスボーダー決済プラットフォームの開発と試験運用を開始しました。一方Visaは、2020年1月にFintech企業Plaidを53億ドルで買収しています。
MastercardやVisa共に既存の金融インフラ・決済プラットフォームが巧みにブロックチェーン領域に進出して、ビジネス拡大していくのは明らかではないかと、あたらしい経済編集部は考えます。
コメント:竹田匡宏(あたらしい経済)
(images:robuart)