カンボジア国立銀行が中央銀行デジタル通貨「Bakong(バコン)」を数ヶ月以内に発行か
カンボジア国立銀行のChea Serey(チア・セレイ)総局長が開発中の中央銀行デジタル通貨(CBDC)「バコン(Bakong)」を数ヶ月以内に発行予定であることを明らかにしたと、カンボジアメディア「Phonm Penh Post(プノンペン・ポスト)」が報じた。
この開発プロジェクトは「プロジェクト・バコン」と呼ばれていて、カンボジア国内の11銀行が参画している ・セレイ氏は「中央銀行のデジタル通貨(CBDC)の準形式であるバコンは、7月に試験的に開始され、現在の会計四半期内に運用される予定です。最終的な目標は、Bakongが国境を越えてペイメントできるようにしていきたいと考えています」とプノンペン・ポストに伝えた。
プロジェクト・バコンに参画しているプノンペン商業銀行社長のCahng Moo(チャン・ムー)氏は「クレジットカード、デビットカード、モバイルアプリなど従来の支払い、送金方法と比較して、バコンの方が安くて便利です。一部の銀行はバコンの影響により市場シェアを失うと言われていますが、長期的に見れば問題にはならないと思います」とコメント。
さらに同氏は「バコンウォレットは、ユーザーの銀行口座にリンクされていて、フィアットと交換できる仕様です。そして全てのトランザクションはリアルタイムで行われ、トランザクションレコードはカンボジア国立銀行が管理する仕様となっています」とコメント。
編集部のコメント
カンボジア国立銀行が発行する中央銀行デジタル通貨「バコン」は「トークン型・間接型」として発行されます。トークン型・間接型とは、中央銀行が直接消費者に対してバコンを送金するわけではなく、市中銀行に対して預け入れ、市中銀行とユーザーが利用するデジタルウォレット間で台帳管理を行う仕組みとなります。
カンボジアは、世界銀行の統計によると15歳以上の国民のうち78%が銀行口座を開設していない現状で、金融システムの促進に待ったなしの状況です。バコンはASEAN地域のQR決済プロトコルに準拠した形で開発されていたり、電話番号宛に直接送金できる仕様となっています。そして、バコンの金融インフラを開発しているのは、日本企業ソラミツでハイパーレジャーいろはを活用しています。
先日のBIS(国際決済銀行)のレポートによると、新興国がCBDCを発行する理由は、金融包摂と国内の銀行間送金のようなホールセールの課題を解決するためだと明らかにしています。まさに、カンボジア国立銀行が発行するバコンがその事例になるのではないか、とあたらしい経済編集部は考えます。
コメント:竹田匡宏(あたらしい経済)
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