香港金融庁とタイ銀行が中央銀行デジタル通貨に関する実証実験成果を報告
香港金融庁(HKMA)とタイ銀行(BoT)が中央銀行デジタル通貨調査プロジェクト「Inthanon-LionRock」で、CBDCを利用した国際送金の実証実験結果を発表。
実証実験に参加したのは、香港の2つの商業銀行とタイの8つの商業銀行。具体的には、香港の2つの銀行はHSBCとZA銀行、タイの金融機関は、HSBC、スタンダードチャータード、バンコク銀行、クルンタイ、クルンスリ、カシコーン銀行、サイアム商業銀行、タナチャート銀行となっている。
実証実験で利用された技術プラットフォームは、R3社が提供するCordaで、技術パートナーはCryptoBLK ・目的は、コルレス銀行のネットワークを利用せず、銀行間だけで直接ペイメントを可能にできるかを確かめることだった。
実証実験で検証されたことは、コルレス銀行を介さずに、リアルタイム決済ができたため、ペイメント効率が改善されたこと、そして CBDCトークンは、通常資産を結び付けるNostro Account(のストロアカウント)の役割を置き換えるため、流動性が上がった。
さらに、トランザクションはリアルタイムで報告され、商業銀行の報告作業が軽減された。さらに、このCBDCを活用したペイメントモデルは世界の金融市場のニーズに合わせて拡張できることがわかった。
編集部のコメント
CBDCを理解する上で重要な、PvP決済やDvP決済という言葉を説明します。PvPとは、Payment Versus Paymentの略で、多国通貨同時決済と呼称されています。海外企業と日本企業が取引するときに、日本の決済システムと海外の決済システムなど異なる種類の決済システムを結びつけて、取引を行う手段です。
現状のPvPの課題として、異なるシステムを結びつけているので、決済処理に時間がかかり、仲介をしているコルレス銀行に手数料が支払われていることが挙げられます。
続いて、DvPの説明をします。DvPとは、Delivery versus Paymentの略で、証券、債券、資金の引渡し(Delivery)と代金の支払い(Payment)を相互に条件を付け、一方が処理されない限り、他方も処理が行われないようにすることをいいます。
これは、当事者が資金や債券を提供したにも関わらず、他方から債券や証券を受け取れないリスクを防ぐための仕組みです。CBDCの最大の特徴は、中央銀行が準備金を担保させながら、プログラマブルな通貨を実現できることです。
あたらしい経済は、これから世界中で発行されていくであろうCBDCに関して、官民のバランスが保たれながら、各国が成長できるポイントは何かを考えていきたいと思います。
コメント:竹田匡宏(あたらしい経済)
(images:Guzaliia-Filimonova )