テザー社、金裏付けの米ドルステーブルコイン「aUSDT」発表

XAUTを過剰担保とした合成ドル

USDTなどのステーブルコイン発行企業テザー(Tether)社が、同社のトークン化された金(テザーゴールド:XAUT)を担保とするトークンを発行できるプラットフォーム「アロイ・バイ・テザー(Alloy by Tether)」を6月17日発表した。

同プラットフォームは、ユーザーが担保付きの合成デジタル資産を作成できるプラットフォームで、テザー社のCEOである、パオロ・アルドイノ(Paolo Ardoino)氏によれば、今年後半に開始される新しいテザーデジタル資産トークン化プラットフォームの一部となる予定だという。

同プラットフォームで最初にリリースされるトークンは、aUSDTだ。米ドルにペッグされた同トークンは、XAUTを過剰担保とする合成ドルだという。なおテザー社によると、XAUTの時価総額は5億7000万ドルとのこと。またXAUTの価値は、スイスに保管されている現物資産の金に裏付けられているとのことだ。

なお「アロイ・バイ・テザー」での資産の発行と管理は、エルサルバドルの国家デジタル資産委員会(CNAD)の規制下にある「MOON GOLD NA, S.A. DE C.V.」と「Moon Gold El Salvador, S.A. de C.V.」が行うという。

ちなみにテザー社は2022年10月、エルサルバドル及びスイスのルガーノ市と「経済協力に関する覚書(MOU)」を締結。また昨年6月には、エルサルバドルの再生可能エネルギー発電所を建設するプロジェクトに出資参加したことを発表。同プロジェクトでは、発電所で作られた電力を使用した世界最大規模のビットコインマイニング施設を設立することを目指している。

テザー社は5月、2024年第1四半期の財務情報を開示し、同社過去最高益となる45.2億ドル(約7,037億円)を記録したことを発表していた。

なお同社の前回2023年第4四半期での純利益は28.5億ドルで、当時この数字も過去最高益と報告されていた。

テザー社によると今回の過去最高益に貢献したのは、ステーブルコイン発行にあたり保有している米国債による10億ドルにおよぶ利益とのこと。なおテザー社は908.7億ドル相当の米国債を直接および間接的に保有しているという。

またビットコインと金(ゴールド)の時価評価益が、残りの利益として構成されているとのこと。公開されている資料を確認するとテザー社では、ビットコインは53.7億ドル、金は36.5億ドル、現金および現金同等物は18.3億ドルを保有している。

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参考:Alloy by Tether
images:iStocks/taa22

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者