欧州銀行監督機構、間もなく発効のMiCA準拠に基づき企業に遵守求めるガイドライン公表

ART・EMTに関する規制ガイダンスも発表

欧州銀行監督機構(EBA)が、「EU暗号資産(仮想通貨)市場規制法案(MiCA)」に基づき企業が遵守すべき技術基準およびガイドラインのパッケージを6月13日公表した。

今回発表されたガイドラインは、MiCAで規制される一部についてもの。今回の発表では、6項目について触れられているが、その中でEUにおける資産参照型(ART)と電子マネートークン(EMT)に関する規制ガイダンスも提供されている。

ARTは商品や不動産、さまざまな資産のバスケットなどの資産に裏付けられたトークンだ。EMTは法定通貨にペッグされ、ステーブルコインのように決済に使用されることで安定した価値を維持するものを指す。なおEMTにはテザー社発行のUSDTなどが含まれる。

同パッケージでは、ストレステスト・プログラムの基準制定や、資産準備金の流動性要件、発行体が策定すべき回収計画などを含む6項目について言及されている。

具体的には、潜在的なリスクをカバーするのに十分な自己資金が必要であることや、高いリスクに直面しているかどうかを判断するためのパラメータの作成などを発行体に求めている。

同ガイドラインでは、発行体が自己資金を重要資産に分類される資産の平均準備金である3%に調整するための手続きと期間が示された。発行体は実施計画を25営業日以内に提出せねばならず、最大6ヶ月以内に遵守することが義務付けられる。

 またEBAは、日次および週次満期に応じて資産準備の最低割合を設定。流動性の高い金融商品の発行者への集中を制限するため、「重要性がなく、公式通貨に参照されるトークンに関連する資産の準備として保有すべき信用機関への預金額の下限は、参照される金額の30%、またはトークンが重要である場合は60%に抑えるべきであり、それ以上引き上げることはできない」と述べている。

またEBAは、1つの発行体が提供できるこれらの流動性の高い金融商品の数に制限を設けた。

また、資産準備金に関する要件は、すでに法律で免除されているEMT発行体には適用されないことを明確にするために、新しいパラグラフを導入し、文言を合理化し、さらに明確化するための修正も行われている。

MiCAは6月末から発効予定であり、デジタル資産サービスプロバイダー(DASP)は、それまでに同規制に準拠しなければならない。

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参考:EBA
images:iStocks/richterfoto

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者