前CFTC議長がデジタルドルプロジェクトを発表
米国商品先物取引委員会(CFTC:Commodity Futures Trading Commission )の前議長であったChristopher (“Chris”) Giancarlo(クリストファー・ジャンカルロ)氏とDaniel Gorfine(ダニエル・ゴルフィン)氏がドルとペッグするデジタル通貨「Digital Dollar Project」を、1月16日に発表した。
さらに、このプロジェクトの支援を募るために、非営利組織であるDigital Dollar Foundation(デジタルドルファウンデーション)を設立した。そして、この組織のパートナーにアクセンチュアが選ばれた。
Christopher Giancarlo氏は「21世紀のデジタル時代において、デジタル通貨はフィアットの準備預金では十分に機能出来ないが、Digital Dollar(デジタルドル)を発行すれば、将来性がある米ドルの通貨の役割を助け、場所や時間に関係なく個人や企業が、米ドルでの支払いを行えるようになる。このプロジェクトは、他の連邦準備制度の負債と共存し、新しいデジタル世界の需要を満たすための決済媒体として機能するデジタル化されトークン化された米ドルを触媒するものとなる 」とコメント。
アクセンチュアのシニアマネージャーでグローバルのブロックチェーンチームのトップであるDavid Treat氏は「アクセンチュアは、Digital Dollar Foundationと提携して、アクセンチュアの実ビジネスでの経験と最新の技術能力を最大限に活用するために、多彩な専門家集団を結集し支援することで、このプロジェクトを推進していきます」とコメントしている。
編集部のコメント
Digital Dollar Projectを主導するジャンカルロ氏は、米国商品先物取引委員会(CFTC)の第13代議長を2019年4月13日まで務めていました。そして、仮想通貨への興味を強く持っていたことから”Crypto Dad”の通称で呼ばれていました。アメリカは政府として、CBDC発行に関する動きは少なかった。
例えば、2019年11月19日にFRB(連邦準備制度理事会)のパウエル議長が、「FRBはデジタルドルがアメリカに利益をもたらすかどうかを検討しているが、積極的に開発しているわけではない。さらにデジタル国家通貨は他国の場合とは違い、アメリカにメリットをもたらさない可能性がある」や、2019年12月5日にムニューシン米財務長官が「今後5年以内に政府としてデジタル通貨発行の可能性はないだろう」と発言をしています。
今回のプロジェクトは、政府主体のプロジェクトはありませんが極めて政府と関係性が近しい人物が主導しています。さらに、アクセンチュアは中央銀行とステーブルコイン発行などに関して多くの実績があります。
例えば、カナダ銀行、シンガポール金融庁、欧州中央銀行、そして最近では中央銀行であるスウェーデンのリクスバンクとのテスト環境でのe-krona CBDCの開発契約の締結などの実績を持っています。このように極めてアメリカ政府と近しく力を持っているジャンカルロ氏と実績のあるアクセンチュアが組んでプロジェクトを進めていくことは、アメリカだけでなく世界中のCBDC発行を検討し、開発している国にとって意味のある動きだと、あたらしい経済編集部は考えています。
コメント:竹田匡宏(あたらしい経済)
(images:KvitaJan)