イーサリアム「Pectra」アップグレード、25年Q1目標に開発へ

Pectraアップグレードが25年Q1目標に

イーサリアム(Ethereum)の次期大型アップグレードとなる「ペクトラ(Pectra)」のリリース目標が、2025年の第1四半期の末に設定された。5月23日の開発者会議で分かった。

同開発者会議「Execution Layer Meeting」は、イーサリアムの実行層(EL)に関わる開発者が定期的に開催するオンライン会議であり、YouTubeで生放送を行いながら開催されている。

なお「ペクトラ」は、実行層の「プラハ(Prague)」アップグレードおよびコンセンサス層(CL)の「エレクトラ(Electra)」アップグレードを合わせた名称である。

現在すでに同アップグレードでの主要な実装は決定しており、中でも「EVM Object Format(EOF)」と「PeerDAS」、「EIP-7702」の実装が中心的な内容となる。

「EVM Object Format」は、イーサリアムの仮想マシンである「EVM(イーサリアム仮想マシン)」に関する大型のアップグレードであり、約11個のEIPを導入する。これによりイーサリアムでのガス削減及びセキュリティの向上が期待されている。なおこの実装がアップグレード時期を延期する原因になったこともわかっている。

また「PeerDAS」は、イーサリアムの既存の実装であるピアツーピアネットワークを活用して実装するデータ可用性サンプリング(Data Availability Sampling)ソリューション。データ可用性サンプリングは、データをすべてダウンロードすることなく、全てのデータがダウンロード可能であることが確認できる技術のことだ。

そして「EIP-7702」は、ヴィタリックが提案したアカウント抽象化(AA)技術。通常のアカウントとして利用されているEOA(外部所有アカウント)を、一時的にスマートコントラクトとして扱える仕組みを導入することで、既存のスマートコントラクトに追加の実装を行う必要がないというものだ。なお同提案は以前提案されていた「EIP-3074」に代わる案であり、提案後すぐに採用されることが決定した。

なおこの会議では、以前から実装が期待されている「ヴァークルツリー(Verkl tree)」にも言及されている。「ヴァークルツリー」は、今回のアップグレードではなく次期アップグレードである「オオサカ(Osaka)」での実装が検討されている。

関連ニュース

参考:Execution Layer Meeting
images:Ethereum

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

田村聖次

和歌山大学システム工学部所属 格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。 SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

合わせて読みたい記事

【11/22話題】SECゲンスラー委員長が退任へ、金融庁が暗号資産・ステーブルコイン仲介業の新設検討など(音声ニュース)

米SECゲンスラー委員長が来年1月に退任へ、功績評価の一方で反発や批判も、金融庁、暗号資産・ステーブルコイン仲介業の新設検討=報道、国民・玉木代表が税制改正要望を与党に提出、暗号資産への申告分離課税導入など提案、米裁判所、SECの「ディーラー」定義めぐる訴訟で関連規則を破棄するよう命じる、リミックスポイントが5億円でBTC・DOGE・XRP購入、投資総額30億円に、マスターカードとJPモルガン、ブロックチェーン決済ソリューションを連携 、コインベースが「WBTC」取扱い廃止へ、背景にジャスティン・サンの影響か、2019年のアップビットのハッキングは北朝鮮ハッカー関与か、韓国警察が特定、米ドルステーブルコイン「FDUSD」、スイに対応開始、Injective、オンチェーンAIエージェントSDK「iAgent」リリース

広告

ビットワイズ、「ソラナ現物ETF」を上場申請

米暗号資産(仮想通貨)運用会社ビットワイズ(Bitwise)が、ソラナ(Solana)を基盤とするETF(上場投資信託)の上場申請を、米国証券取引委員会(SEC)に提出したと11月21日発表した。なおこの申請は、株式取引所シーボーBZX取引所(Cboe BZX exchange)を通じて行われたとのこと。またビットワイズは発表上で同商品についてETP(上場取引型金融商品)と記載している