ワールドコイン財団が虹彩コード削除、データを分散・秘密共有できるシステム導入で

ワールドコイン財団がSMPC導入

ワールドコイン財団(Worldcoin Foundation)が、データを個別に暗号化及び秘密に共有・分散できるシステム 「SMPC(Secure Multi-Party Computation:セキュアマルチパーティコンピュテーション)」の導入を5月16日発表した。

ワールドコインは「オーブ(Orb)」と呼ばれるボール状のデバイスで虹彩をスキャンし、各人それぞれの虹彩の特徴をデジタルコード「虹彩コード(Iris Code)」に変換することで、個人を識別する「World ID」を発行している。なおユーザーの個人認証を行う為のこの一連の技術は生体認証テンプレートと呼ばれている。

今回の「SMPC」導入により、「虹彩コード」はセキュリティとプライバシーの問題から同システムへ移行されたとのこと。

これにより「虹彩コード」は「SMPC」上で個別に暗号化され、複数の当事者によって分散して秘密共有することで、より安全にユーザーのデータを管理可能になったという。なお移行後に残った古い「虹彩コード」及びコードのチェックシステムは安全に削除されたとのこと。

これにより、ユーザーは自身の身元を明らかにせずに自分自身を証明でき、ユーザー同士による生体認証テンプレートの重複登録を防いで認証作業を行えるという。また成り済ましやディープフェイクなどからもユーザーを保護できるとのことだ。

なお「SMPC」は、ワールドコインが分散型コンピューティングにおけるプライバシーとセキュリティ問題に取り組むプロジェクトであるタセオ(TACEO)と共同開発したシステムとのこと。また同システムはギットハブ(GitHub)にてオープンソース化されているとのことだ。

ワールドコインとは

ワールドコインは、AIチャットボットサービス「ChatGPT」を提供する米オープンエーアイ(OpenAI)のCEOサム・アルトマン(Sam Altman)氏が立ち上げた暗号資産(仮想通貨)プロジェクトだ。

ワールドコインでは、独自の専用ブロックチェーン「ワールドチェーン(World Chain)」を今夏にリリースする予定とのこと。TFHによると「ワールドチェーン」はイーサリアム(Ethereum)のレイヤー2ブロックチェーンだという。

ワールドコインは現在イーサリアムL2の「OPメインネット(OP Mainnet)」上で稼働しているが、同ネットワークのトランザクションが「OPメインネット」のアクティビティの約44%を占めていることなどの要因からネットワーク移行を進めるとのことだ。

関連ニュース

参考:ワールドコイン財団
images:iStocks/Irina-Shibanova

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

一本寿和

「あたらしい経済」編集部 記事のバナーデザインを主に担当する他、ニュースも執筆。 「あたらしい経済」で学んだことを活かし、ブロックチェーン・NFT領域のバーチャルファッションを手がけるブランド「JAPAN JACKET」を2021年10月より共同創業。

合わせて読みたい記事

【9/6話題】テレグラムCEOが逮捕後初の声明、トランプが米国を「暗号資産とBTCの世界的中心地」にすると宣言など(音声ニュース)

テレグラムCEO、逮捕後初の声明発表。同社使命に同意できない国からは撤退の意志も、トランプ、米国を「暗号資産とBTCの世界的中心地」にすると宣言。イーロンマスクと共に米政府財務監査行う姿勢も、スイ(SUI)、機関投資家向け米ドルステーブルコイン「AUSD」利用可能に、モジュラーブロックチェーン「Elixir」、最終テストネット公開、EigenLayer、メジャーアップデート「アイゲンポッドアップグレード」導入、FlowがEVM対応開始、メタマスクでも利用可能に、TONブロックチェーン、総トランザクション数が10億件を突破、半数は3か月、Penpieで27Mドルの不正流出、Pendleは105Mドルの保護に成功

広告

暗号資産決済Mercuryoがマルチチェーンデビットカード提供開始、マスターカードと提携で

暗号資産(仮想通貨)決済プラットフォーム「マーキュリョ(Mercuryo)」が決済大手の米マスターカード(Mastercard)と提携し、ノンカストディアル型のウォレットから暗号資産を直接使えるマルチチェーンデビットカード「スペンド(Spend)」の提供開始を9月5日発表した