マスターカードがカーボンクレジットをトークン化
決済大手の米マスターカード(Mastercard)が、スタンダードチャータード銀行香港(Standard Chartered Hong Kong:SCBHK)及びその関連会社と、顧客預金およびカーボンクレジットのトークン化における試験的な概念実証(proof-of-concept pilot:PoC pilot)の完了を5月14日発表した。
この概念実証は、香港金融管理局(HKMA)のフィンテック規制サンドボックス内で行われたとのこと。また同概念実証にはマスターカードに加え、金融サービス大手のスタンダードチャータード(Standard Chartered)銀行の子会社であるスタンダードチャータード銀行香港の他、スタンダードチャータードから支援を受けている香港のバーチャルバンクのモックス銀行(Mox Bank)と、資産トークン化プラットフォーム提供のリベアラ(Libeara)が参加したとのこと。
そして概念実証では、マスターカード提供の「マルチトークンネットワーク(Multi Token Network)」を活用して、顧客預金とカーボンクレジットをトークン化し、これら2つのトークン化された商品間でアトミックスワップ(同時交換)を実現したという。
具体的には、モックス銀行の顧客がカーボンクレジット購入の為に資金をモックス銀行口座に入金。次にモックス銀行はリベアラを介して、希望するカーボンクレジットのトークン化をスタンダードチャータード銀行香港へ要求するとのこと。
そして「マルチトークンネットワーク」を通じて顧客の預金もトークン化され、トークン化されたカーボンクレジットと預金のアトミックスワップが可能になるという。
このプロセスを経ることで、スタンダードチャータード銀行香港とモックス銀行の間で透過的なリアルタイムのトランザクションが実現し、またエンドユーザーはトークン化されたカーボンクレジットへのアクセスが可能になるとのことだ。
なお「マルチトークンネットワーク」とは、トークン化された資産やデジタル資産を安全かつ効率的に管理・交換する為のソリューションで、マスターカードによって昨年6月にリリースされている。
またマスターカードは、信頼できる取引ネットワークを確保する為の「マスターカードクリプトクレデンシャル(Mastercard Crypto Credential)」を昨年4月にリリースしており、「マスターカードクリプトクレデンシャル」と「マルチトークンネットワーク」を連携することで、より信頼性の高いデジタル資産の取引を実現するとのこと。
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参考:マスターカード
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