インジェクティブ開発の「inEVM」、「Arbitrum Orbit」と統合

inEVMがArbitrum Orbitと統合

分散型金融(DeFi)向けL1ブロックチェーン「インジェクティブ(Injective)」開発の「inEVM」が、「アービトラムオービット(Arbitrum Orbit)」と統合した。アービトラム財団(Arbitrum Foundation)およびインジェクティブラボ(Injective Labs )が 5月8日に発表している。

「inEVM」は、インジェクティブラボが今年3月に独自開発したEVM(イーサリアムバーチャルマシン)。「インジェクティブ」では、「inEVM」を含んだ複数の仮想マシンを維持しており、コスモス(Cosmos)やイーサリアムの開発者がそれぞれのスタックを用いてアプリケーションを構築可能だ。

「アービトラムオービット」では好みのトークンをガストークンとして利用可能なL2ブロックチェーンを構築可能であり、これをカスタマイズすることで「インジェクティブ」のガストークンであるINJをガストークンとして利用可能な仮想マシンを実現した。

今回の統合により「inEVM」で、イーサリアムL2エコシステム上でのアプリケーション開発で利用できるツールを用いたアプリケーション構築が可能になったとのこと。具体的にはスマートコントラクト開発に使用される言語であるソリディティ(Solidity)用の開発フレームワークである「ハードハット(Hardhat)」や「ファウンドリー(Foundry)」などを用いた開発が可能になるという。

また「inEVM」のトランザクションが、「インジェクティブ」におけるINJのバーン(焼却)メカニズムであるバーンオークション(Burn Auction)に参加する資格が得られるとのこと。バーンオークションでは、全プロトコル手数料の一定割合を週単位でバーンしており、INJの価値を高めている。これにより「inEVM」の利用による手数料もこの仕組みに貢献できるようになる。

なお「アービトラムオービット」とは、独自ブロックチェーンの構築をサポートするツールパッケージである。このツールパッケージは、イーサリアム(Ethereum)L2アービトラム(Arbitrum)を開発するオフチェーンラボ(Offchain Labs)によって昨年6月よりリリースされている。

インジェクティブとは

「インジェクティブ」は、様々なブロックチェーンの仮想マシンと互換性のある独自の仮想マシンを1つのブロックチェーンに実装する開発を進めているプロジェクト。コスモスSDK(Cosmos SDK)をベースに構築されている。

「inEVM」のリリースにより「インジェクティブ」にEVM環境が実装され、イーサリアム上でスマートコントラクトを開発したことがある開発者は「インジェクティブ」上に、Solidityなどの使い慣れた言語や開発用のツールを用いて開発した分散型アプリケーション(Dapps)を公開可能になった。

さらに「インジェクティブ」では「inEVM」に続き、独自のSVM(Solana Virtual Machine)環境である「inSVM(Injective SVM)」が今後リリース予定となっており、これによりソラナエコシステムでの開発も可能になるとのことだ。

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参考:インジェクティブ
images:iStocks/neyro2008

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この記事の著者・インタビューイ

一本寿和

「あたらしい経済」編集部 記事のバナーデザインを主に担当する他、ニュースも執筆。 「あたらしい経済」で学んだことを活かし、ブロックチェーン・NFT領域のバーチャルファッションを手がけるブランド「JAPAN JACKET」を2021年10月より共同創業。

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