日本円ステーブルコイン「JPYC」、J-KISSで電算システムから資金調達

JPYCがJ-KISSで電算システムから資金調達

前払式支払手段による日本円ステーブルコイン「JPYC」を取り扱うJPYC社が、電算システム社からの資金調達実施を5月7日発表した。またこれに伴い両社は、資本業務提携をする。

なお資金調達の方法については主にシード期の資金調達で用いられる、新株予約権を利用した簡易な資金調達手法「J-KISS」が用いられたという。

ただし今回の調達額については非公開のようだ。

電算システム社は、東京証券取引所プライム市場および名古屋証券取引所プレミア市場の上場企業である電算システムホールディングスのグループ会社。電算システム社は、民間企業で初めて口座振替サービス・コンビニ決済サービスをスタートして以降、決済・収納代行のパイオニア企業としてサービスを拡大しているという。なおコンビニ収納代行サービスでは、業界内で最多の全国65,000店以上のコンビニ、ドラッグストア等で支払いが可能な決済インフラを構築しているとのことだ。

今回の資金調達および業務提携を通じて両社は、「電子決済手段」としての日本円ステーブルコイン「JPYC」による決済・振込手数料を格段に低く抑えた新決済送金基盤の社会実装を共に検討・展開していくという。

具体的には、「コンビニ払込票の『JPYC』払い」、「次世代決済送金サービス実現に向けた検討」、「観光・地域創生プラットフォーム事業の共同推進」を進めるとのこと。

「コンビニ払込票の『JPYC』払い」では、電算システム社提供のコンビニ収納代行サービスの支払手段として「JPYC」払いを加えること目指すとのこと。

また「次世代決済送金サービス実現に向けた検討」では、電算システム社が提供している収納代行システムを、コンビニ、ドラッグストア等と連携し、「JPYC」で支払うことができる次世代決済サービスを展開すべく、両社が共に検討を開始するという。

なお同サービスは、コンビニ、ドラッグストアに限らず、小売店や飲食店、観光施設、エンターテインメント施設やEコマースも加盟店として簡単に導入できる決済サービスを目指という。さらにBtoC向け決済領域のみならず、電算システム社の強みでもある企業間取引プラットフォーム上で展開されるBtoB送金についても「JPYC」の活用を検討していくとのこと。

そして「観光・地域創生プラットフォーム事業の共同推進」では、前述した「JPYC」による「次世代決済送金サービス」を観光産業へ普及することや、DAOコミュニティの運営、NFTやふるさと納税の決済、観光ガイドや翻訳サービスを提供する個人・団体への支払い、観光促進クーポン発行など、あらゆる決済・利用シーンに「JPYC」が「観光・地域創生プラットフォーム」の基盤となるべく活動していくとのことだ。

「JPYC」は1JPYC=1円で取引される日本円連動の前払式扱いのステーブルコイン。法的な暗号資産(仮想通貨)に該当しないトークンとなっており、2021年1月27日よりJPYC社が発行・販売を行っている。

なおJPYC社では、これまで利用されている「JPYC(前払式)」とは別に、資金移動業のライセンスを取得することで償還可能な「JPYC(電子決済手段)」の発行を目指している。

ちなみに現在「JPYC(前払式)」は、イーサリアム(Ethereum)、ポリゴン(Polygon)、シデンネットワーク(Shiden Network)、ノーシス(Gnosis)、アバランチ(Avalanche)、アスターネットワーク(Astar Network)のブロックチェーンに対応している。

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images:iStocks/TaiChesco

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この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。