米検察当局、バイナンス創業者CZに懲役3年を求刑

バイナンス創業者CZに懲役3年が求刑される

米検察当局が、世界最大の暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)の創業者であり前CEOのチャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao:CZ)氏に対し、懲役3年を求刑している。同氏が、マネーロンダリング禁止法違反の罪を認めたためだ。

検察側は24日、シアトル連邦裁判所に提出した書類でこの要求を行った。

検察は、連邦ガイドラインで推奨されている最大18ヶ月の2倍の懲役刑をCZ氏に科すことは、同氏の故意による違反の規模を反映し、「常に法律を遵守することが正しい選択である」というメッセージを送ることになると述べた。

CZ氏の弁護士は執行猶予を要求した。 リチャード・ジョーンズ(Richard Jones)連邦地裁判事は4月30日にCZ氏に判決を下す予定だ。

かつては暗号資産業界で最も影響力のある人物だった47歳のCZ氏は、昨年11月にバイナンスのCEOを辞任。同氏と取引所は銀行秘密法に基づくマネーロンダリング防止要件を回避したことを認めた。

それによりバイナンスは、43.2億ドル(約6,714億円)の刑事罰に同意した。

検察当局によると、バイナンスは犯罪者を歓迎する「ワイルドウエスト」モデルを採用しており、ハマス、アルカイダ、イラク・シリア・イスラム国(ISIS)を含む指定テロ組織との10万件を超える不審な取引を報告していなかったという。

また、同プラットフォームは児童性的虐待関連資料の販売も支援しており、ランサムウェアの収益の大部分を受け取っていたとのことだ。

「ユーザーを惹きつけ、会社を築き、私腹を肥やすには米国の法律に違反することが最善の方法であるという経営判断を(バイナンスは)下した」と検察は述べた。

CZ氏の弁護士らは検察へ寛大な処罰を求める際、初犯である被告が「淡々と」責任を認めたこと、5,000万ドルの罰金が科されたこと、そして類似の事件で服役した被告がいないことを挙げた。

また弁護士らは「今回の起訴につながった最初の失敗にもかかわらず」、CZ氏がバイナンスをコンプライアンス面で業界のリーダーにしたとも述べた。 CZ氏は2017年にバイナンスを設立した。

CZ氏は1億7,500万ドルの保釈金で釈放され、連邦ガイドラインの範囲内でいかなる判決に対しても控訴しないことに同意した。

バイナンスへの罰金には、18.1億ドルの刑事罰金と25.1億ドルの賠償金が含まれている。またCZ氏の弁護士らによると、同氏はCFTC(米国商品先物取引委員会)にも5,000万ドルを支払ったという。

なおこの訴訟は、「米国対CZ事件、ワシントン西部地区連邦地方裁判所、番号 23-cr-00179(U.S. v. Zhao, U.S. District Court, Western District of Washington, No. 23-cr-00179)」だ。

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※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
US seeks 3 years prison for Binance founder Zhao
(Reporting by Chris Prentice and Jonathan Stempel, Editing by Rosalba O’Brien and Chizu Nomiyama)
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
images:Reuters

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大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。