シンガポール金融管理局が暗号資産規制範囲を拡大、ユーザー資産保護強化要件も導入

カストディサービスなどが規制対象に

シンガポール金融管理局(MAS)が、決済サービス法(PS法)を改正し、規制範囲を拡大すると4月2日発表した。

発表によれば、PS法の改正は4月4日より段階的に施行されるとのこと。

今回の改正により、「デジタル決済トークン(DPT)のカストディサービス」が新たにシンガポールの規制対象に加わった。

なおその他にも、「クロスボーダー送金(資金がシンガポール国内で受理・受領されない場合を含む)」や、「DTPの口座・取引所間の移転(サービス・プロバイダーが金銭またはDPTを所有しない場合を含む)」も規制対象に含まれることになった。

なお現在、PS法の下で事業を行っており、新規制の対象となるサービスを提供している事業体は、30日以内にMASに通知し、2024年4月4日から6ヶ月以内にライセンス申請書を提出することで、MASがライセンス申請を審査する間、暫定的に活動を継続できるとのことだ。

なおライセンスの申請には2024年4月4日から9ヶ月以内に、資格のある外部監査人により正当に記入された、事業体の事業活動とマネーロンダリング防止およびテロ資金供与対策要件への準拠に関する認証報告書を提出することが義務付けられている。

これら要件を満たさない場合は、改正が発効した時点で、該当の事業体は活動を停止する必要があるとMASは警告している。

またMASは今回、PS法の付属法である「改正ペイメントサービス規則」も改正した。

これはDPTサービス提供の事業体に、顧客の資産保護に関する改正を課すもので、「顧客の資産を分別管理し、顧客の利益のために信託口座に預けること、適切な帳簿と記録を維持すること、顧客の資産の完全性と安全性を保護するための効果的なシステムと管理を確保することなど」が義務付けられる。

同規則は2024年4月4日から6ヶ月以内に施行されるとのことだ。

MASは昨年7月、同国のDPTサービスプロバイダーに対し、顧客資産を顧客のために信託された保管口座で保管することを義務付ける規制案を公表。

同年11月にはDPTサービスプロバイダー向けの規則案へのフィードバックに対する回答の最終版を公表するなど、今回の規制改正へ向けた地ならしをしていた。

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参考:MAS発表
images:iStocks/Kandl・Ninja-Studio

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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