ハッシュポート、FosunとRWA分野のジョイントベンチャー設立

ハッシュポートがFosunとRWA分野のジョイントベンチャー設立

ブロックチェーン関連事業を行う国内企業HashPort(ハッシュポート)が、香港証券取引所に上場するFosun International Limited:Fosun(フォースンインターナショナルリミテッド)の子会社であるFosun Entertainment Japan:FEJ(フォースンエンターテイメントジャパン)と共同で、ジョイントベンチャー「Fosun Real World Asset:Fosun RWA(フォースンリアルワールドアセット)」を設立したことを3月28日発表した。

発表によると「Fosun RWA」は、不動産や貴金属、芸術品、債券などの現実資産:RWA(Real World Assets)のトークン化および販売を行う企業。出資比率はFEJが85.1%でハッシュポートが14.9%。FEJの代表取締役である山田卓也氏が代表取締役会長を務める。

「Fosun RWA」では、消費性のある将来サービス価値(将来においてホテルに宿泊する権利等)の流動性を高め、管理の透明性と取引コストを削減することに着目しているという。

RWAのトークン発行体(ホテル事業者等)にとっては、将来サービス価値の一部をトークン化・販売することを通じて、本来であれば都度サービスを販売する必要があった取引コストを削減すると同時に、まとまった資金の調達ができ、運営の安定化につながると考えているとのこと。

また一方で、RWAのトークン購入者(ホテル宿泊権の購入者等)にとっては、中長期間の利用権を購入することで既存のサービスで利用権を購入するよりも割安に購入できる可能性があることや、購入した利用権を二次流通市場で分割して売却できることが大きなメリットであると考えているという。

なお「Fosun RWA」の設立当初はFosunが保有するホテルリゾート及び提携パートナーが保有するラグジュアリーホテルの宿泊権のトークン化に注力する方針とのこと。ただし、将来的には様々なRWAのトークン化にも展開していく予定とのことだ。

HashPortによるとRWAをトークン化する市場(RWA市場)は、近年目覚ましい成長を遂げているという。ボストン・コンサルティング・グループのレポートによると、RWA市場は2030年までに4兆ドル〜16兆ドル(560兆円〜2,240兆円、1ドル140円換算)に達すると予想されているとのことだ。

Fosunについて

Fosunは、「Health・Happiness・Wealth」の3つの事業を軸に、5大陸にまたがる約30の国と地域において10億人のファミリー顧客にサービスを提供しているという。

Health事業では医薬・健康サービス・消費の3つの分野に重点を置いており、260項目を超える新薬開発研究があり、保有する病院の総ベッド数は6,448床(2023年6月末現在)とのこと。

また、Happiness事業ではブランド消費と旅行・文化に力を入れており、日本にも展開している代表的なブランドとしてホテルリゾートを運営するClub MedやファッションブランドのLANVIN、Sergio Rossi等があるという。

そして、Wealth事業の2大分野は保険と資産運用であり、ポルトガル最大の保険グループであるFidelidade等を保有しているとのこと。日本においてはイデラキャピタルマネジメント(イデラ)が不動産のアセットマネジメントを行っており、三井物産アセットマネジメント・ホールディングスと共同でスポンサーを務める投資法人みらいと合わせてイデラの資産運用残高は4,729億円(2023年12月末現在)とのこと。なおイデラの代表的な運用資産として、星野リゾート・トマムやキロロリゾート、EN RESORT Grandeco等のホテルリゾートの他、オフィス、住宅、物流施設の運用を行っているとのことだ。

HashPortについて

HashPortは2018年からブロックチェーン技術の研究開発に取り組んでいる企業だ。ブロックチェーン関連コンサルティング・システムソリューション事業を執り行うHashPortの傘下には、主にNFT関連事業を行うHashPalette(ハッシュパレット)と金融インフラ事業を行うHashBank(ハッシュバンク)がある。

HashPaletteはパレットチェーンおよびパレットトークン(PLT)の開発・発行元だ。PLTは2021年7月に「Coincheck IEO」を利用して国内で初めてIEO(Initial Exchange Offering)を経てコインチェックに上場した。またHashPaletteは、国内5例目のIEOとなるエルフトークン(ELF)の発行元でもある。ELFは、今年2月にビットフライヤー提供のIEOプラットフォーム「bitFlyer IEO」を利用して販売を実施した。

またHashBankは、HashPortが昨年4月に会社分割により設立している。

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参考:ハッシュポート
images:iStocks/alice-photo

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この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。