韓国の行政機関、ワールドコインの調査開始
韓国の個人情報保護委員会が、暗号資産(仮想通貨)プロジェクト「ワールドコイン(Worldcoin)」についての調査開始を3月4日発表した。
発表によると同委員会は、「ワールドコイン」による個人情報の収集・処理に対する苦情申告が同委員会にあったことで、今回調査に着手したとのこと。
同委員会は、「ワールドコイン」関連会社が韓国国内10か所以上で虹彩情報を収集中であることを確認しているという。
同委員会は、個人情報保護法上の情報収集・処理全般、個人情報の国外移転などについて調査を行い、違反事項が確認された場合、関連法規に従って措置する計画であるとのことだ。
「ワールドコイン」は、AIチャットボットサービス「ChatGPT」を提供するオープンエーアイ(OpenAI)のCEOであるサム・アルトマン(Sam Altman)氏と物理学者のアレックス・ブラニア(Alex Blania)氏により設立され、7月24日に正式ローンチしたプロジェクト。
「ワールドコイン」は「オーブ(Orb)」と呼ばれるボール状のデバイスで網膜をスキャンし、各人それぞれの虹彩の特徴をデジタルコードに変換することで個人を識別する「World ID」を発行する。現在このスキャンは無料ででき、スキャンしたユーザーは現在無料の暗号資産「Worldcoin(WLD)」を受け取れる。この「WLD」の配布により、ベーシックインカム実現も計画されている。
なお「ワールドコイン」の情報収集については韓国以外の国の規制当局からも調査対象となっている。
昨年7月25日には、英国のデータ規制機関の情報コミッショナーズ・オフィス(ICO)が「ワールドコイン」を調査すると発表。
また同年7月28日には、フランスのデータ保護機関(CNIL)が「ワールドコイン」のデータ収集の合法性を疑わしいとして、調査していることが各報道機関によって報じられた。なお同調査は、ドイツのバイエルン州のプライバシー規制当局が監督権をもつという。
そして同年10月には、ケニア政府の合同特別調査委員会が同国規制当局に対し、ケニアでの「ワールドコイン」の事業停止を勧告している。
さらに今年2月には香港の個人情報保護委員会(PCPD)が、「ワールドコイン」の香港事務所6つに立ち入り調査を行ったと発表している。
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参考:韓国個人情報保護委員会
images:Reuters