中央銀行がバイナンスに厳しい姿勢示す
大手暗号資産(仮想通貨)取引所のバイナンス(Binance)の幹部らが、ナイジェリア当局に拘束された。フィナンシャルタイムズが2月29日報じた。
ナイジェリアは現在、暗号資産を規制することで法定通貨ナイラ(NGN)の安定化とインフレの抑制を図っている。
ナイジェリアの通信規制当局であるナイジェリア通信委員会(NCC)は2月21日、バイナンス(Binance)、クラーケン(Kraken)、コインベース(Coinbase)、その他の暗号資産取引所のウェブサイトへのアクセスをブロックするようインターネット・サービス・プロバイダーに命じたと一部報道が出ていた。
なおコインベースのCEOであるブライアン・アームストロング(Brian Armstrong)氏はこの報道を否定。同氏は、コインベースの製品はナイジェリアで中断することなく完全に稼働していると述べ、同社幹部は「ナイジェリアの当局から働きかけや連絡は受けていない」と断言している。
今回フィナンシャルタイムズが報じた関係者の話によれば、この事態を受け、バイナンスの幹部2名はナイジェリアに飛び、入国しようとしたところを同国の国家安全保障顧問事務所に拘束され、パスポートを押収されたという。
なお国家安全保障顧問事務所とバイナンスはコメントを控えているという。
幹部の拘束を受けて、バイナンスはビットコイン(BTC)とテザー(USDT)に対するナイラの取引を停止している。
またナイジェリア中央銀行(CBN)のオレイミ・カルドソ(Olayemi Cardoso)総裁は2月27日の記者会見にて、バイナンスのようなプラットフォームを通じて資金が不正に流れている兆候があると述べた。
カルドソ総裁は記者団に対し、多くの取引所を経由する不正な資金流入や、疑わしい資金流入が行われている実態に対する懸念を表明。
バイナンスを名指しし、「バイナンスの場合、過去1年間だけでも、バイナンス・ナイジェリアを通じて、私たちが十分に特定できない送金元やユーザーから、260億ドルもの資金が流れている」と述べている。
またカルドソ総裁は、暗号資産取引所に関する調査を、ナイジェリアの反汚職機関、警察、国家安全保障アドバイザーらが共同で行っていることも明かした。
関係筋の話によれば、当局はバイナンスに対し、ナイジェリア人ユーザーのリストを要求しているようだ。
ナイジェリア証券取引委員会(SEC NIGERIA)は昨年7月、バイナンスによる同国での事業運営は「違法」であると発表。違法認定されたのは、バイナンスによる投資か誘致活動で、その理由は同国においてバイナンスの事業がナイジェリア証券取引委員会に登録および規制されていない為とのことだった。
その際にナイジェリア証券取引委員会は、全ての暗号資産プラットフォームプロバイダーに対し、ナイジェリア居住者への勧誘行為の停止を命じた。
なおCBNは昨年12月、世界的な動向を鑑み、それまで取引が禁止されていた暗号資産取引の制限を緩和し、VASPの活動を規制する旨を通達していた。
VASPへは、暗号資産業に従事するために、ナイジェリア証券取引委員会(SEC NIGERIA)のライセンスを取得することが義務付けられている。
This is inaccurate WRT Coinbase as far as I can tell.
— Brian Armstrong 🛡️ (@brian_armstrong) February 23, 2024
Coinbase products are still operating (no interruption)
We haven’t received any outreach or communication from officials in Nigeria
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参考:フィナンシャルタイムズ
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