INTMAX、「Plasma Next」メイネットαをローンチ。Plasmaの完成により拡張性向上

INTMAXが「Plasma Next」メイネットαをローンチ

ステートレスzkRollupプロジェクト「Intmax(イントマックス)」を開発するRyodan Systems(リョダンシステムズ)が、「Plasma Next(プラズマネクスト)」のメインネットアルファ版をローンチした。

リョダンシステムズ共同創業者でPlasma研究者である日置玲於奈氏が、現在米国で開催中のETHDenverにて2月25日発表した。

写真:Ryodan Systems共同創業者 日置玲於奈氏

「Plasma Next」は、Ethereum(イーサリアム)のスケーリングソリューションであるPlasmaとRollups(ロールアップ)のハイブリッドなブロックチェーンとのこと。両者の利点を組み合わせてセキュリティとスケーラビリティ(拡張性)を向上させているという。またトランザクションが、卓越したプライバシーとセキュリティで処理されることを補償するために、高度なゼロ知識証明(ZKP)を組み込んでいるとのこと。

また「Plasma Next」は、Plasmaフレームワークの基本原則に基づいており、ユーザー数に関係なくブロックあたりの一定のコストを実現し、元のPlasmaが目指したスケーラビリティを実現すると同時に、zkRollupsと同じセキュリティの前提を維持しているとのことだ。

なおPlasmaは、2017年にEthereum(イーサリアム)創設者のヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏とLightning Network(ライトニングネットワーク)を提案したジョセフ・プーン(Joseph Poon)氏によって構想された、イーサリアムのレイヤー2のスケーリングソリューション。

Plasmaネットワークでは、預金、引き出し、およびマークルルートを除くすべてのデータと計算をオフチェーンで保持ができる。Plasmaを活用することで、オンチェーンのデータの可用性によるボトルネックを受けることなく、大規模なスケーラビリティの利点が生まれるという。

ただしPlasmaには、ユーザーがネットワークから資産の引き出しを行う前に7日間待機時間があること、そしてユーザーがPlasmaチェーン上のトランザクションを監視する必要があったこと。これらの理由から、イーサリアムのスケーリングソリューションはPlasmaからRollups(ロールアップ)に置き換えられた過去がある。

なおロールアップは、元となるブロックチェーンのセキュリティなどを活用しながら、ガス代(ネットワーク手数料)やネットワークの混雑解消を図るスケーリングソリューションだ。

発表によると「Plasma Next」の最も重要な部分の1つは、ステートレス(stateless)アーキテクチャとのこと。

ステートレスなソリューションは、ノードやバリデータがデータを保持するのではなく、ユーザーが自分のデータを管理する場合を指すという。

大手ベンチャーキャピタルa16zの研究者によると、バリデータは最小限で一定のサイズのステートのみを保存する必要があるため、これを実現することは困難だという。バリデータのストレージ負担を軽減するための重要な研究と努力にもかかわらず、a16zは完全にステートレスなブロックチェーンは実用的ではないと結論付けているとのこと。

しかし「Plasma Next」は、このa16zの研究を覆す結果を出しているという。「Plasma Next」ではユーザー数に関係なく、ブロックごとに一定のコストでスケーリングできるという。このことは、理論的にステートレス性における不可能性への擬似的な解決策になるとのことだ。

なおリョダンシステムズは「Plasma Next」の他、生体認証やMPC、FHEなどの最新の暗号技術を搭載したウォレット「INTMAX Wallet」を手掛ける企業。日本人起業家の日置玲於奈氏および藤本真衣氏がCo-Founderを務めている。

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この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。