竹田恒泰氏のエクスコイン社らが発表した156種類のステーブルコイン「xcoin」について考察

竹田恒泰氏のエクスコイン社らがステーブルコイン「xcoin」を記者発表

作家の竹田恒泰氏が代表取締役CEOを務める株式会社エクスコインと、外貨両替所を運営する株式会社エクスチェンジャーズが香港法人である Excgangers HK Limitedとともに、日本円を含む世界156種類の法定通貨に対応するステーブルコイン「xcoin(エクスコイン)」を発行することを12月11日の記者会見で発表した。

12月中には同社が両替所で取り扱う156種類の通貨それぞれに対応したステーブルコインを発行し、香港法人より国際版のウォレットアプリをリリースする予定とのこと。

また2020年3月頃に資金移動業登録をすませ、日本版のウォレットアプリのリリースも予定している。さらに8月以降には高額資金移動業登録を行い、さらに仮想通貨交換業登録も行い、イーサ等の仮想通貨とxcoinと交換の開始を目指すとのこと。

xcoinの担保としては、法令に従い発行残高の50%を法務局に供託、残りを現金及び現預金で保管するとのこと。なおこのコインは資金決済法に従って暗号資産(仮想通貨)ではなく、自家型前払式決済手段(いわゆる電子マネーやポイントのようなもの)として取り扱われる。

xcoinのプライベートチェーンについて考察

トークンの発行にはイーサリアムのブロックチェーンを活用しERC20トークンを発行する。なおこのブロックチェーンはパブリックでなく、プライベートチェーンとのこと。

通常パブリックなブロックチェーンはブロックの承認を文字通りパブリックにすることで取引が改竄されない信頼を担保している。今回のxcoinのブロックチェーンは、プライベートチェーンであり、ブロックの承認も同社の管理する複数のノードで行うとのことだが、その管理方法や内部不正予防の詳細については発表されなかった。なお配布されたホワイトペーパーにはコンセンサスアルゴリズムについて組織内承認と記載されていた。一般的にはあまり見ない表現だ。

同社の仕組みに限ったことではなく、プライベートチェーンでブロックチェーンを運営する際は、この部分の信頼をどのように担保するかが一つの課題だ。こういったプライベートチェーンを銀行や大手企業など一定の信頼を現在持っている組織が運営する場合よりも、中小規模の事業者やスタートアップが運営する場合の方が、その必要性は大きくなる。

同社及び連携する会社の社員数は資料によると合計で50名であり、このスタッフでどのように安全にブロックチェーンの維持し、ユーザーからの信頼を得られるのかについては、今回の発表では明確には分からなかった。配布されたホワイトペーパーに関してもブロックチェーンの技術面の記載は少なかった。

156ものステーブルコインを発行するという大規模な構想ゆえに、その辺りの技術仕様の詳細と、ブロックチェーン運用に関する内部ルールや外部監査の仕組みなどが、今後公開されていくのかどうかについて、記者としては注目していきたい。

この記事の著者・インタビューイ

設楽悠介

「あたらしい経済」編集長/幻冬舎コンテンツビジネス局局長 幻冬舎でブロックチェーン/暗号資産専門メディア「あたらしい経済」を創刊。同社コンテンツビジネス局で電子書籍事業や新規事業を担当。幻冬舎コミックスの取締役兼務。「Fukuoka Blockchain Alliance」ボードメンバー。福岡県飯塚市新産業創出産学官連携協議会委員。ポッドキャスターとして、Amazon Audible original番組「みんなのメンタールーム」や、SpotifyやAppleにてweb3専門番組「EXODUS」や「あたらしい経済ニュース、ビジネス系番組「二番経営」等を配信中。著書『畳み人という選択』(プレジデント社)。

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