自称ビットコイン発明者の審理始まる
暗号資産(仮想通貨)の所有権をめぐる法廷闘争が始まった2月5日、オーストラリアのコンピューター科学者クレイグ・ライト(Craig Wright)氏がビットコインの発明者だと主張するのは「図々しい嘘」だと、ジャック・ドーシー(Jack Dorsey)氏が支援するグループの代理人弁護士が英ロンドンの裁判所に語った。
ライト氏はビットコイン(BTC)やその他の暗号資産の基礎となるホワイトペーパーを2008年に「サトシ・ナカモト」という名前で発表したのは自分だと主張している。
同氏は、これはホワイトペーパーの著作権が自分にあり、ビットコインのブロックチェーンに関する知的財産権が自分にあることを意味すると主張している。
しかし、ツイッター創業者のドーシー氏の決済会社ブロック(Block)をメンバーとする「クリプトオープンパテントアライアンス(Crypto Open Patent Alliance:COPA)」は、ライト氏は「サトシ・ナカモト」ではないとの判決をロンドンの高等裁判所に求めている。
ライト氏が2月6日から証拠を提出する5週間にわたる審理は、サトシの正体に関する長年の憶測の集大成である。
ライト氏は2016年に初めて公にサトシであると主張し、それ以来、暗号資産開発者や取引所に対して法的措置を取ってきた。
しかしCOPAは、ライト氏は本物の証拠を提示したことはなく、自分の主張を裏付けるために何度も文書を偽造したと非難しており、ライト氏はこれを否定している。
COPAの弁護士であるジョナサン・ハフ(Jonathan Hough)氏が、ライト氏の主張は「大胆な嘘であり、工業的規模の偽造に支えられた精巧な虚偽の物語である」と述べたため、ライト氏は裁判所に出廷した。
ハフ氏は、ライト氏の行為には「茶番劇の要素がある」とし、ChatGPTを使った偽造の疑惑を挙げた。
しかしハフ氏は「ライト博士の行為は致命的に深刻でもある。自分がサトシであるという不正な主張に基づいて、彼は数千億ドルにのぼる要求を追及し、その中には多数の一般個人に対するものも含まれる」と指摘した。
しかし、ライト氏の弁護士であるアンソニー・グラビナー(Anthony Grabiner)氏は、ライト氏が「ホワイトペーパーの著者であり、ビットコインの創作者であることを証明する明確な証拠」を提出したと法廷で主張した。
グラビナー氏は、「サトシ・ナカモト」であると公に主張した者が他にいないことは「驚くべきこと」だと続けた。
「もしライト博士がサトシでないなら、本物のサトシが名乗りを上げて反論することが予想される」とグラビナー氏は述べている。
関連ニュース
- 自称ビットコイン開発者クレイグライト、知的財産訴訟の和解を提案
- 自称ビットコイン開発者クレイグ・ライトの25億ドル訴訟が裁判に
- ジャックドーシーら、ビットコイン開発者を訴訟から守るファンド設立か
- ロビンフッド、ビットコインSV(BSV)の上場廃止
- 1人あたり5BTCを無料配布、ギャヴィンがサトシに提案したビットコイン初のフォーセット
Self-proclaimed bitcoin inventor’s claim ‘a brazen lie’, London court told
By Sam Tobin
Reporting by Sam Tobin, Editing by Louise Heavens
翻訳:髙橋知里
※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
images:Reuters