米国の「現物ビットコインETF」、オプションの規制承認には数か月かかる可能性=情報筋

米国の「現物ビットコインETF」のオプションの規制承認には数か月

米国の新しいビットコイン上場投資信託(ETF)のオプションは、規制当局の承認を得るのに数ヶ月かかる可能性があり、原資産であるビットコインの魅力に水を差す可能性があると複数の業界関係者が語った。

米証券取引委員会(SEC)は先月、クリプト(ブロックチェーン・暗号資産の総称)業界にとって画期的な出来事となるビットコインの現物ETFを承認した。1月11日から10銘柄が取引されている。

オプションは、株式や上場商品などの資産を、設定された日付までにあらかじめ決められた価格で売買する「権利」を保有者に与える上場(市場)デリバティブ。トレーダーにとっては購買力を増幅させる安価な手段であり、機関投資家にとってはリスクヘッジに利用されることが多い。

関係者らによると、ビットコインETFのオプションが遅れているのは、このETFのオプションを承認するための規制プロセスが確立されていないためだという。

SECは、取引所がオプションを上場させるための技術的なルール変更を監督しており、通常はETFが取引を開始してから数日後に承認する。しかし、規制当局はビットコインを商品(コモディティ)と見なしているため、現物ビットコインETFオプションは、商品デリバティブを監督する商品先物取引委員会(CFTC)の承認も必要となる可能性がある、と関係者は述べている。

スポットビットコインETFに関連する商品は管轄権や監督に関する疑問を引き起こす可能性があるが、CFTCは現在もこの問題を整理中だと、規制に関する議論について身元を明かすことを拒否した関係者は述べた。

ヴァンエック(VanEck)の現物ビットコインETFにベンチマークを提供しているマーケットベクターインデックス(MarketVector Indexes)のデジタル資産商品ストラテジストであるマーティン・ラインウェバー(Martin Leinweber)氏は、「この二重の規制関与は、複雑なレイヤーを追加し、規制上の頭痛の種と呼ぶ人もいるかもしれない可能性がある」と述べた。なお同氏は、承認には2ヶ月から10ヶ月かかると予想している。

オプションがなければ、大口投資家はこの現物ETFに1,000億ドルもの資金を投入する可能性があるが、リスク管理の問題に直面することになる。ヴァンダービルト大学のイェシャ・ヤダヴ法学教授は、「完全に離れてしまう投資家も出てくるかもしれない」と語った。

今回のオプション承認の遅れは、より革新的な暗号資産製品を市場に投入するというクリプト(ブロックチェーン・暗号資産の総称)業界の目標にとっても障害となっている。

ETFのマーケットメーカーであるファルコンX(FalconX)の資本市場責任者、ジョン・ログリエリ(John Roglieri)氏は「市場は本当にそこに行きたがっているが、規制当局が門番だ」と述べた。

オプションが規制当局の二重の承認を必要とすることは前例がないわけではないが、稀なケースである。現物商品と結びついた最初のETFである「SPDRゴールド・シェアETF(SPDR Gold Shares ETF)」の場合、CFTCがオプションを承認するのに3年以上かかった。また2010年に申請されたプラチナとパラジウムのETFオプションについても、規制当局の承認は得られなかった。

SECはロイターからのコメントの要請に応じなかった。またCFTCはコメントを拒否した。

ETFを上場しているナスダック(Nasdaq)、シーボー(CBOE)、NYSEアルカ(NYSE Arca)のウェブサイトに掲載された告知によると、各社は1月にオプションの開始をSECの承認を求めた。CBOEは、オプションの上場は「2024年後半」を予定していると述べた。

取引所のオプションを清算するオプション清算公社(OCC)は、コモディティベースの商品の清算と決済を行うためにCFTCの承認を求める必要がある。 OCCは必要な承認について規制当局と協力していると述べたが、可能な時期についてはコメントを避けている。

この問題に詳しい別の関係者によると、一部の取引所幹部は近くCFTC当局者と会合し、この問題について話し合う予定だという。

「米SECが現物ビットコインETFを承認するまでに10年かかったということを考えると、オプションの遅れは驚くべきことではない」とし「上場オプションのためにあと数カ月というのは、物事の大枠から見ればそれほど長い期間ではないだろう」とグローバルX(Global X)のデジタル資産商品責任者アダム・ゼー(Adam Sze)氏は述べた。

なお同社は今週1月30日に現物ビットコインETFの申請を取り下げている。

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※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Regulatory nod for US spot bitcoin ETF options may take months- sources
(Reporting by Suzanne McGee and Hannah Lang in Washington; additional reporting by Laura Matthews and Chris Prentice in New York; Editing by Michelle Price and Anna Driver)
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
images:Reuters

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大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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