暗号資産レンディングNexo、ブルガリアに約4430億円の損害賠償を求める

Nexoがブルガリアに損害賠償を求める

暗号資産(仮想通貨)レンディング企業ネクスオー(Nexo Capital)が、同社への犯罪捜査をめぐり、ブルガリアに30億ドル(約4,431億円)の損害賠償を求めている。

世界銀行の国際投資紛争解決センター(ICSID)に提出された法的書類によると、ケイマン諸島を拠点とするネクスオーのスイス法人ネクスオーAG(Nexo AG)は、同国の捜査により自社の評判が傷つき、株主価値が損なわれ、米国株式市場への上場とサッカーのスポンサー契約の計画が台無しにされたと主張している。

ワシントンに本部を置くICSIDは、国際投資家と国家間の紛争を扱う国際仲裁機関であり、1月18日に登録された。なお今回の件についてICSIDの広報担当者からは、損害賠償の水準やその他の詳細については確認できなかった。

ブルガリア財務省は、ICSIDから仲裁の要請を受けたと発表。仲裁の要請は、省庁間の専門委員会によって検討され、その後、次の措置が提案される。

「この連絡またはその他の連絡は、いかなる請求の内容に関しても、またいかなる仲裁裁判権の受諾に関しても、いかなる意味においても容認したものとはみなされない」と同省は付け加えた。

この事件の被告人でもある検察当局は、ロイターからのコメントの要請に応じなかった。

ブルガリアの検察当局は2023年1月にネクソAGの捜査を開始した。ソフィアにある事務所を家宅捜索し、資金洗浄や税金・コンピューター詐欺を行う組織犯罪グループに参加した罪などで創業者を起訴した。

しかし検察は先月12月、犯罪行為の証拠がないとしてこの訴訟を取り下げた。検察は、ブルガリアには暗号資産サービスの法的枠組みがないと述べた。

ブルガリアの元議員アントニ・トレンチェフ(Antoni Trenchev)が共同設立したネクスオーは、不正行為を否定し、調査は政治的な動機によるものだと主張していた。しかし、検察当局は以前この主張を否定していたと地元通信社BTAが報じている。

特に米国の規制当局は、トップクラスの暗号資産企業における不正行為の疑いを取り締まっている。しかし、取り下げられた調査に対する補償をめぐって暗号資産企業が国を相手にするのは異例だ。

ICSIDはこれまでに、パキスタン、エクアドル、ベネズエラなどさまざまな国に対し、企業への数十億ドルの損害賠償を命じている。

今月上旬のロイターとのインタビューで、トレンチェフ氏は上場の指示を受けたとする銀行や、スポンサー交渉を打ち切ったヨーロッパのサッカークラブの名前を公にすることを避けていた。

暗号資産の貸し手は、暗号資産の世界の銀行のような役割を果たし、顧客がプラットフォームに預けた暗号資産に利子を提供する。

2018年に設立されたネクスオーは昨年、米国内の製品とサービスを段階的に廃止し、暗号資産貸出製品の登録を怠ったとして、米証券取引委員会(SEC)と州規制当局からの告発を解決するために4500万ドル(当時約58億円)を支払うことに合意した。

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※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Crypto lender Nexo seeks $3 billion in damages from Bulgaria over aborted investigation
Reporting by Elizabeth Howcroft and Kirstin Ridley; Editing by Tommy Reggiori Wilkes and Louise Heavens

翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
images:Reuters

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大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。