米SECが訴訟で不正確発言あったと認める、今後職員教育徹底も=報道

再発防止に努める姿勢

米証券取引委員会(SEC)が、暗号資産(仮想通貨)関連企業デットボックス(DEBT Box)に対する訴訟での不正確な発言を認めた。米大手暗号資産メディアのザ・ブロック(The Block)が12月22日報じた。

SECは今年7月、デットボックスが「ノードライセンス」と称する未登録証券を販売し、数千人の投資家から4,900万ドル(約72億円)超を詐取したと主張。SECは同社に対し、暫定的差し止め命令(TRO)の発動を求める申請書をユタ地方裁判所へ提出していた。なお同社が提供していた「ノードライセンス」とは、実際のマイニング作業を行わずにマイニング報酬を得る仕組みを証券化したものである。

その後TROは発行されたものの、裁判所は審理の中で、SECがTRO申請を裏付けるためにSECが行なった表明の中に「虚偽または誤解を招くもの」があったと判断し、TROを取り消した。裁判所はSECに対し、そのような発言をした理由について回答期限付きで説明を求めていた。

ザ・ブロックが確認した12月21日付けの裁判資料によれば、デットボックスが現在進行中の訴訟中に数十の口座を閉鎖したとされるなど、TROの要請を裏付けるために行ったいくつかの主張が虚偽であったことをSECは認めたという。

SECは文書の中で、法廷で正確・正直であるべきという約束に背いたことや、不正確な表現をしたこと、それを訂正しなかったことを認め、「特定の表現が、直接裏付けられた事実の主張ではなく、事実からの推論であったこと」を認めているとのことだ。

しかし不正確な発言を認めたSECは一方で、正当な措置命令を行ったと主張している。

SECは今後の対応として、誤りを正す措置として、デンバー支局から上級弁護士を任命し、今後の案件を監督させるとした。またSECは、以後同様のことが起こらない様、正確に業務を遂行すること、また不正確な点があればすぐに訂正する義務についての職員教育を行うとも述べている。

SECによればデットボックスは、資産と投資家の資金を海外に移転しようとしていたという。その証拠としてSECは、銀行取引明細書と口座閉鎖を挙げていた。

関連ニュース

参考:ザ・ブロック理由開示命令書
images:Reuters

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

合わせて読みたい記事

【9/6話題】テレグラムCEOが逮捕後初の声明、トランプが米国を「暗号資産とBTCの世界的中心地」にすると宣言など(音声ニュース)

テレグラムCEO、逮捕後初の声明発表。同社使命に同意できない国からは撤退の意志も、トランプ、米国を「暗号資産とBTCの世界的中心地」にすると宣言。イーロンマスクと共に米政府財務監査行う姿勢も、スイ(SUI)、機関投資家向け米ドルステーブルコイン「AUSD」利用可能に、モジュラーブロックチェーン「Elixir」、最終テストネット公開、EigenLayer、メジャーアップデート「アイゲンポッドアップグレード」導入、FlowがEVM対応開始、メタマスクでも利用可能に、TONブロックチェーン、総トランザクション数が10億件を突破、半数は3か月、Penpieで27Mドルの不正流出、Pendleは105Mドルの保護に成功

広告

暗号資産決済Mercuryoがマルチチェーンデビットカード提供開始、マスターカードと提携で

暗号資産(仮想通貨)決済プラットフォーム「マーキュリョ(Mercuryo)」が決済大手の米マスターカード(Mastercard)と提携し、ノンカストディアル型のウォレットから暗号資産を直接使えるマルチチェーンデビットカード「スペンド(Spend)」の提供開始を9月5日発表した