S&Pがステーブルコインのリスク判断開始、テザー「USDT」などが低評価

S&Pがステーブルコインのリスク判断開始

格付け会社S&Pグローバルが、法定通貨などと値動きが連動するように設計された暗号資産(仮想通貨)の一種、ステーブルコインのリスク判断を開始し、最も取引量が多い「テザー(USDT)」などに低い評価を与えた。

ステーブルコインはある程度安心できるとの見方から人気が高まったが昨年5月、「テラUSD(UST)」と関連暗号資産「テラ(LUNA)」の大暴落でその脆弱性が浮き彫りになった。

こうした中でS&Pは、ステーブルコインを5段階(1が最高、5が最低)に点数化。政府や企業に対する「トリプルAからデフォルト圏」までの格付けと別の制度としたが、資産の質や問題点を重視して判断を下す手法はほぼ同じで、格付けのように引き上げや引き下げも行う。

S&Pのアナリスト、ラポ・グアダグヌオロ(Lapo Guadagnuolo)氏は、ステーブルコインを決済手段として利用する動きが広がってきたことを、点数評価を始めた主な理由として挙げた。

今回は「USDT」の他、取引量第2位の「USDコイン(USDC)」や「ファーストデジタルUSD(FDUSD)」、「パックスダラー(USDP)」、「ジェミナイダラー(GUSD)」など8つのステーブルコインが評価されている。

評価「1」に該当する銘柄は無く、「2」については「USDC」や「USDP」、「GUSD」が評価された。「3」は該当なく

「USDT」および取引量第4位の「ダイ(DAI)」そして「FDUSD」の点数は下から2番目の「4」。取引量第5位の「トゥルーUSD(TUSD)」と「フラックス(FRAX)」は最下位の「5」になった。

S&Pによると「USDT」の低評価は準備資産の保有先に関する情報不足が反映されているという。また準備資産の大半は米国債や現金同等資産だが、よりリスクの高い資産にも「相当なエクスポージャー」があるとのこと。

「TSUD」の場合は、準備資産の内容や信頼できる機関がこれらの資産を保有しているのかどうか、何の情報もないと指摘された。

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※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
S&Pがステーブルコインのリスク判断開始、テザーなどが低評価
Marc Jones
images:iStocks/peshkov

この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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