SafeがWeb3Authと提携、ソーシャルアカウントでのウォレット作成ツール発表

SafeがWeb3Authと提携

イーサリアム(Ethereum)およびEVM(イーサリアム仮想マシン)ブロックチェーン向けのスマートアカウントを提供するSafe(セーフ:旧Gnosis Safe)が、「アカウント抽象化(AA:Account Abstraction)」ツール「セーフオース(SafeAuth)」を作成したことを12月5日に発表した。

同ツール作成にあたりセーフは、Web3ウォレットサービス提供のWeb3Auth(Web3オース)と提携している。

スマートアカウントとは、「アカウント抽象化」を用いてスマートコントラクトアドレスを利用可能なアカウントのこと。

また「アカウント抽象化」とは、一般的に利用されるアドレスであるEOA(Externally Owned Accounts)に代わってスマートコントラクトを直接操作することで、スマートコントラクトをウォレットのように利用可能にする概念である。「アカウント抽象化」によりユーザーは、ガス代を任意のトークンで支払い可能になることや、簡単に複数の端末でアドレスを共有できるなど多くの利点がある。

「セーフ」によると新たに作成された「セーフオース」は、暗号技術「マルチパーティコンピューテーション(MPC)」をベースにした製品であり、ソーシャルアプリでのログインだけで分散型アプリケーション(DApps)への接続を可能にするという。

「セーフオース」の利用によりユーザーは、Googleなどの使い慣れたソーシャルアカウント等のWeb2サービスの認証「シングルサインオン(SSO)」を用いてスマートアカウントのセットアップが可能となり、Web3ウォレットを利用する際に保管するシードフレーズが必要なくなるとのことだ。

なお「セーフオース」は、「Safe」が提供するソフトウェア開発キット「Safe{Core} AA SDK」内の機能として追加された。

近頃、「アカウント抽象化」については多くの企業が研究を進めており、8月には海外暗号資産(仮想通貨)取引所OKX(オーケーエックス)の暗号資産ウォレット「OKXウォレット(OKX Wallet)」にも「アカウント抽象化」を用いたスマートアカウント機能が導入されている。

また米決済大手ビザ(Visa)が、イーサリアム(Ethereum)のテストネットの一つ「Goerli(ゴエリ)」で「アカウント抽象化」機能を搭載したスマートコントラクトの実験を行っていたことも5月に明らかになっている。

イーサリアム(Ethereum)の共同創業者であるヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏も6月に公開したブログにて、スマートコントラクトウォレットへの移行を行わなければイーサリアムは失敗すると述べている。

なお大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)が先月リリースした「Binance Web3 Wallet」では「MPC」が利用されており、シードフレーズや秘密鍵を気にすることなく作成が可能となっている。

同ウォレットはMPC技術により、秘密鍵が3つの「キーシェア」に分割し保存されるとのこと。3つの「キーシェア」とユーザーのみが知るリカバリーパスワードによって同ウォレットは保護されるという。

なお3つの「キーシェア」はバイナンス・デバイス・個人のクラウドストレージ(iCloudまたはGoogle Drive)の3つにそれぞれバックアップされるとのこと。ウォレットにアクセスするには少なくとも2つの「キーシェア」が必要になるとのことだ。

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参考:Safeブログ
images:iStocks/ismagilov

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この記事の著者・インタビューイ

田村聖次

和歌山大学システム工学部所属 格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。 SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

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