電通とTOPPANがWeb3ウォレットの実証実験、アバターUI市場の可能性探る

Web3ウォレットの利便性向上へ向け

電通グループとTOPPANホールディングスが、Web3ウォレットの利便性向上へ向けた実証実験を開始すると12月5日発表した。Web3ウォレットに保有者それぞれの外見や話し方を精巧に再現した「フォトリアルアバター」を対話型のUI(ユーザーインタフェース)として適用するための実証実験を行うとのこと。

なおこの実証実験は、電通グループがODKソリューションズらと近畿大学の学生を対象に取り組むWeb3サービス「アプデミーⓇ」の実証実験の対象範囲を拡大し、行うという。なお「アプデミーⓇ」とは、NFTを活用することで、個人体験を価値化するサービスだ。

今回の実証実験では、学生本人の代わりに当人そっくりなフォトリアルアバターが、NFTの保有状況を把握したうえで必要に応じてインセンティブ権利を行使・提示するなど、学生を中長期的に支援するアバターUI市場の可能性と技術的な進展について検証するとのこと。

実証項目は、「実績証明NFTについてアイデンティティ解析を行うシステムの構築」、「アバターとUIの技術およびサービスの市場の可能性についての検証」、「アバターをUIとして自身の外見を用いる場合と第三者の外見を用いる場合との反応差異の検証」だ。

この実証実験において電通グループは、NFTの保有状況についてウォレット単位でのポートフォリオ分析や、保有者のアイデンティティ情報と紐づけしたうえで特定するトークン解析に関する知見の提供を行うとのこと。

またTOPPANホールディングスは、高精度の顔計測が可能な装置であるライトステージや「メタクローン®」を用いたフォトリアルアバターの制作や、対話表現に関わる技術の提供。そして、自分とは異なる姿形をしたアバターUIを提供した場合の、学生の会話内容や反応の違いやインセンティブに対する反応の差異を、自身の外見を用いる場合と比較・検証するという。

なお「メタクローン®」とは、メタバース上でサービスを開発・運用する企業向けに、TOPPANが提供するサービスだ。1枚の写真からフォトリアルな3Dアバターを自動生成することができるとのこと。

その他の実証実験参加企業として、ODKソリューションズがNFT保有状況を元にデータ解析するサービスの提供および⾃然⾔語での応答サービスの提供をし、ソニーがICカード型ハードウェアウォレットの提供を行うとのこと。

その他にもシビラ、Onplanetz(オンプラネッツ)、3RD GEAR(サードギア)、セプテーニ・インキュベート、放送大学・川原研究室、和光大学経済経営学部・岩見研究室が実証実験に参加するとのことだ。

同実証実験は12月11日~2024年3月31日の期間で行われ、近畿大学にてデータを取得し、放送大学にて検証されるとのこと。

今後について電通グループとTOPPANホールディングスは共同研究各社と共同で、実証実験結果を基に、ブロックチェーン上での展開時の手続きの標準化に取り組むという。ユースケースの提案や検証結果を公開予定とのことだ。

電通グループは7月、レイヤー1ブロックチェーンSui(スイ)上でDIDs(Decentralized Identifiers:分散型識別子)技術を活用した、クリエイターエコノミー形成に向けたプロジェクトを開始している。

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image:iStocks/Aleksandra-Zhilenkova

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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