大和証券グループとGinco、パブリックチェーンで証券トークン発行の概念実証へ

証券トークンをパブリックチェーン上で発行する概念実証へ

大和証券グループ本社、大和証券、Fintertech(フィンターテック)、Ginco(ギンコ)が、パブリックブロックチェーンにおけるセキュリティトークン(ST:証券トークン/デジタル証券)の発行および発行プラットフォームの開発に向けた概念実証の実施予定を11月30日発表した。

なお現時点で、国内で発行されたSTは、主にプライベートチェーンやコンソーシアムチェーン上で発行されている。海外においては、2021年4月に欧州投資銀行(EIB)がEthereum(イーサリアム)上で債券を発行している他、2023年2月にはSiemens(シーメンス)が、同年9月にはABN Amro(ABNアムロ)が、Polygon(ポリゴン)上で債券を発行している。

発表によるとパブリックチェーン上でSTの発行を行う上では様々な課題があるというが、一方で、外部からの参照や移転指示等が自由であり、透明性やインターオペラビリティの観点で有用である等のメリットがあるという。このメリットは、STがグローバルで活用が進む理由になるという。

概念実証の概要

今回の概念実証では、パブリックチェーンでのST発行における主な論点となるうちの 「ハッキングによる秘密鍵の流出」に焦点を当てるとのこと。ハッキングが起こった場合に、どのようにして顧客の資産を守ることができるかについて検証するとのことだ。なおもう一つある論点は「犯罪による収益の移転防止に関する法律における取引時確認」があるという。

具体的な実証内容は、まずフィンターテックがイーサリアム上に用意された投資家2名(以下「投資家A」「投資家B」)のアドレスに対して、譲渡不可NFTのソウルバウンドトークン(SBT)を付与するという。

その後発行会社がイーサリアム上でSTを発行するとのこと。このSTは、証券会社を介さず、少人数私募により投資家Aに販売。次に投資家Aは投資家Bに対して当該STを売却するとのこと。

当該STはスマートコントラクトにより、SBTが付与された投資家のみに売却・取得できないように設計されており、これによりハッキングによる秘密鍵の流出時にもSTの不正な移転ができない設計とのことだ。

また「投資家の暗号鍵が盗まれた場合」、「発行体の暗号鍵が盗まれた場合」、「SBT発行体の暗号鍵が盗まれた場合」の3ケースにおいて、STおよびSBTのスマートコントラクトの設計により、問題の発生を未然に防ぐ、または発生時に元の状態に戻すことが可能であることを示す予定とのこと。

この概念実証については、2024年1月以降での実施を予定しているという。実証終了後、検証結果を含め、報告をする予定とのことだ。

なお大和証券では昨年2月、三菱UFJ信託銀行、ケネディクス、SMBC日興証券と共に受益証券発行信託スキームを用いた資産裏付型セキュリティトークン(資産裏付型ST/証券トークン)を公募開始している。これ以降大和証券はSTを事業化し、これまでの資産裏付型STの累計引受額は226億円になったとのこと。なお11月30日現在でこの数字は、金額ベースでSTにおける国内トップシェアを有するとのことだ。

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参考:フィンターテック
images:iStocks/Dmytro-Varavin

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この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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