ソラミツ、ソロモン諸島中央銀行と中銀デジタル通貨の実証実験を実施

ソラミツがソロモン諸島中央銀行とCBDCの実証実験

国内ブロックチェーン技術開発企業ソラミツが、ソロモン諸島中央銀行(CBSI)との中央銀行デジタル通貨(CBDC)の実証実験(PoC)開始を11月29日発表した。

この実証実験はソラミツ提供のCBDCシステム「Bokolo Cash」を利用して、CBSIが個人間・企業間送金・店舗での支払い(リテールCBDC)や銀行間決済(ホールセールCBDC)、国際送金シミュレーション(クロスボーダーCBDC)などのユースケースの試験を実施するとのこと。

なお「Bokolo Cash」の構築は、ソラミツが元々開発したパーミッション型ブロックチェーンの一種である「ハイパーレジャー・イロハ・バージョン2」が活用されているという。

発表によると同実証実験にあたりCBSIは、中央銀行がCBDCを発行するために必要な法律「CBSI(修正)法2023」を11月3日付で制定しているという。また10月17日には、CBSIとソラミツにてCBDC実証実験開始の契約を締結していたとのことだ。

今回CBSIは「Bokolo Cash」を使用して、「CBSI(修正)法2023」に基づきソロモン諸島ドル通貨と1対1の価値をもつCBDC、Bokolo Cashを発行し、実証実験の参加者はBokolo Cashを購入して利用するという。

これらのCBDCであるBokolo CashはリテールCBDCとして、実証実験の範囲内で送金や支払いに利用でき、個々の参加者同士や企業間でBokolo Cashを送金し、参加者がソロモン諸島ホニアラ市内のいくつかの参加店舗において商品購入のためにBokolo Cashで支払えるとのこと。

またBokolo CashはホールセールCBDCとして、CBSIと商業銀行の間や商業銀行間での銀行間決済にも使用されるとのことだ。

CBDCの管理については、Bokolo Cashウォレットのアプリにより、実証実験の参加者や各店舗はスマートフォンにてできるとのこと。参加者は標準化されたQRコードをBokolo Cashウォレットでスキャンして、参加者同士や店舗での即時支払いが可能だという。またeKYCを含む国際基準に準拠した2段階の厳格な本人確認の仕組みが搭載されているため、将来的に国民IDシステムとの統合の可能性があるとのことだ。

ただし実証実験の終了後にBokolo Cash CBDCは、全てのエコシステム上からその価値を失うとのこと。

またクロスボーダーCBDCの実証実験として、SORAパブリック・ブロックチェーン・ネットワーク向けにソラミツが開発したFearless Walletモバイル向けアプリを海外での相手先と想定して、Bokolo Cashウォレットの利用者からSORAネットワークを経由して海外の相手先へのBokolo Cashを国際送金するシミュレーションを行うという。

このクロスボーダー送金について、「実際に実現するためには各国の規制や中央銀行の方針にしたがって、どのような方法で実現するかについて詳細な検討が必要になる」としたうえで、Bokolo Cashを国際送金のユースケースにも拡張可能であることが確認できるとのこと。

なおこの実証実験は、経済産業省の新興国DX等新規事業創造推進支援事業費補助金を活用し、実施されるとのことだ。

ソラミツではThe Linux Foundation(リナックス財団)がオープンソース・ブロックチェーン基盤として進めている「ハイパーレジャーイロハ」の開発に貢献している。

「ハイパーレジャーイロハ」はこれまでに、カンボジア王国のCBDC「Bakong/バコン」の正式運用やラオスのCBDC実証実験「DLAK/デジタル・ラオ・キープ」を始め、国内外でCBDCや地域デジタル通貨の発行基盤として利用されている。またソラミツはアジア開発銀行(フィリピン)等と共に、異なるブロックチェーン同士を接続した国際証券決済の実証実験を行なっている。

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参考:ソラミツ
images:iStocks/Funtap・Ninja Studio

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この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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