DEX「dYdX」、YFIトークン市場が標的型攻撃を受け証拠金要件を引き上げ

分散型取引所「dYdX」が証拠金要件を引き上げ

DEX(分散型取引所)dYdX(ディーワイディーエックス)が、11月17日に行われた取引所に対する標的型攻撃によって生じたユーザーのポジション清算をカバーするために900万ドルの支出を余儀なくされた。これを受け同DEXは19日に一部のマーケットで証拠金要件を引き上げた。

dYdXは11月17日、DeFi(分散型金融)プロトコル「yearn.finance(ヤーンファイナンス)」のガバナンストークンであるYearn.finance(YFI)をターゲットにした、市場操作によるマーケットへの攻撃を受けた。この攻撃はYFIの市場価格を一時的に40%ほど引き下げることで行われ、多くのユーザーのポジションが清算された。

ユーザーへの補填のため使用されたのは、dYdX v3の保険基金として用意されていたうちの資金、900万ドルだ。なお同資金を使用した現在でも1350万ドルが保険基金に残っているとのことだ。

dYdXはこの一連の流れを受け、流動性の低い幾つかのマーケットで証拠金要件を引き上げ、リスクの高い取引を制限した。

なお証拠金要件が引き上げられたのはEos(EOS)、0x Protocol(ZRX)、Aave(AAVE)、Algorand(ALGO)、Internet Computer(ICP)、Monero(XRM)、Tezos(XTZ)、Zcash(ZEC)、SushiSwap(SUSHI)、THORChain(RUNE)、Synthetix(SNX)、Enjin(ENJ)、1inch Network(1INCH)、Celo(CELO)、Yearn.finance(YFI)、Uma(UMA)の16トークンだ。

dYdX創設者のアントニオ・ジュリアーノ(Antonio Juliano)氏によると、dYdXチームは攻撃者の捜査を進め、攻撃者の特定に大きな進歩を遂げたとのこと。現在は攻撃者に関して持っている情報をFBIに報告しているところだという。

なおdYdXは、攻撃者との交渉および報奨金支払い等をすることなく、捜査に最も協力した者に報奨金を支払うという。

同氏は今回の攻撃について分かっていることをまとめた投稿をX(旧ツイッター)にて行っている。その投稿によると、今回の攻撃者は2週間ほど前にdYdXのSUSHIトークンのマーケットを今回行った方法と同様の方法で攻撃しようと試み、失敗しているとのことだ。

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images:iStocks/Vjom

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この記事の著者・インタビューイ

田村聖次

和歌山大学システム工学部所属 格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。 SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。