SBIデジタル・マーケッツ、トークン化ファンドの技術的試験運用でUBSと協力

「プロジェクト・ガーディアン」の一環で

SBIデジタルマーケッツ(SBI Digital Markets)が、大手資産運用会社UBSアセットマネジメント(UBS Asset Management)と協力し、変動資本会社(Variable Capital Company:VCC)によるトークン化されたファンドの発行・流通に関する技術的な試験運用を実施した。SBIデジタルマーケッツが10月30日発表している。

VCCは投資ファンド向けの会社形態のひとつであり、資本の柔軟な活用や構造の自由度の高さ、さまざまな種類のファンドに適用可能であること等が主な特徴として挙げられる。

なおこの試験運用は、シンガポール金融管理局(MAS)が進める官民連携イニシアチブ「プロジェクト・ガーディアン(Project Guardian)」の一環だ。

UBSアセットマネジメントは今年10月、イーサリアム活用のトークン化ファンドの試験運用を開始していた。

今回の試験運用は、イーサリアム(Ethereum)ネットワークのパーミッション環境上で実行されたという。

SBIデジタルマーケッツとUBSアセットマネジメントは試験運用にて、ファンド・マネージャー、ディストリビューター、デジタル資産カストディアンがトラスト・アンカーとして機能する様々なトークン化ファンドのシナリオをテストしたという。自動化と効率化にはスマートコントラクトが使用されたとのこと。

また両社はそれぞれの独立したデジタル資産技術設定を通じ、ファンド株式の申し込みと償還をネットワーク上でシミュレートしたとのことだ。

今後SBIデジタルマーケッツは、トークン化されたファンドの商業化モデルの可能性を模索するため、「プロジェクト・ガーディアン」の下で、より幅広いエコシステム参加者との協業を目指すという。

SBIデジタルマーケッツの最高経営責任者(CEO)であるウィンストン・クエック(Winston Quek)氏は 「資本市場の未来に対する私たちのビジョンは、金融機関がデジタル化と効率化技術を活用してデータとコスト効率を向上させることだ。UBSアセットマネジメントとの技術的な試験運用の成功は、今後のさらなる取り組みの第一歩となる」と述べている。

「プロジェクト・ガーディアン」とは

「プロジェクト・ガーディアン」は、MASが昨年5月より推進するプロジェクトだ。ホールセールの資金調達市場の効率化と流動性向上を目的とした、トークン化債券・預金の機関投資家間での取引可能性などを検討している。日本の金融庁もオブザーバーとして同プロジェクトに参加している。

10月30日には、日本の金融庁、スイスの金融市場監督庁(FINMA)、英国の金融行為監督機構(FCA)が、「プロジェクト・ガーディアン」の政策立案者グループを構成することになることが発表されている。

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参考:SBIデジタルマーケッツ
images:iStocks/Dmytro-Varavin

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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