台湾で暗号資産管理法案が審議開始

VASPへのライセンス申請義務へ

台湾の立法委員が、立法院に「暗号資産(仮想通貨)管理法案」を10月25日提出した。

この法案は、暗号資産業界を適切に監督し、顧客の利益を保護するためのものだという。

同法案では、暗号資産サービスプロバイダー(VASP)へライセンス申請を義務付けるほか、顧客資産の分別管理、内部統制及び監査システムの確立、地元業界団体への参加が提案されている。

法案によると、もしライセンスなしでVASPを運営した場合、200万台湾ドル(約923万円)~2000万台湾ドル(約9,231万円)の罰金が科されるという。台湾で既に営業している暗号資産企業は、法案が施行されてから6ヶ月以内にライセンスを取得する必要があるとのことだ。

また顧客資産の分別管理については、顧客資産と事業資金の分離を義務付けるにとどまり、第三者のカストディアン等の利用を明確に義務付けていない。

同法案では、取引所の運営者に対し、年次報告書の所轄官庁への提出が定められた。また、規制当局が内部統制や監査システムを定期的に検査できるようにすることも義務付けられている。

また準備金の証明については、規制当局が業界と協議した上で設定した資産比率の基準を、VASPが遵守することを期待するとしている。

なお広告マーケティング活動については、「適任機関」によってルールが決定される予定だという。

台湾の規制当局である金融監督委員会(FSC)は9月、VASPに対し、自主監督規則を策定するためのガイドラインを発表。このガイドラインは台湾の主要な暗号資産取引所が共同で設立した自主規制団体「台湾VASP協会」の設立発表に伴い発表されたものだ。

今回「暗号資産管理法案」を提出した議員らは、台湾では規制機関による規制措置が、急速に発展している暗号資産業界に追いついていないと指摘。この状況を受けて議員らは、暗号資産市場の可能性を見出すため、事業者の監督強化と顧客保護のための法案を起草したとのことだった。

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参考:法案
デザイン:一本寿和
images:Reuters

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者