上海市政府の要求に応える取引となった
上海石油天然ガス取引所(SHPGX)が、同取引所でデジタル人民元(e-CNY)による初の原油取引が行われたと10月19日発表した。
発表によれば、同取引はペトロチャイナ・インターナショナル(PetroChina International Corp Ltd)によるもので、100万バレルの原油がe-CNYによって決済されたという。なお売主と取引価格は明かされていない。
また今回の取引は、クロスボーダー(越境)決済でe-CNYを使用するという上海市党委員会らの要求に応えるものだという。
SHPGXは発表にて、「上海市党委員会と市政府は、『上海市は国際貿易におけるデジタル人民元の適用に積極的に参加する』という作業要請を発表している。SHPGXはこの要請に応え、国際石油ガス貿易取引の拡大に際し、クロスボーダー人民元決済へのデジタル人民元の組み込みを積極的に推進した」と述べている。
またSHIPGXは、国内業務の拡大のみならず、国際的な石油ガス貿易業務を積極的に模索していくという。
SHIPGXは国際的な企業らが中国市場に参入しやすくするために、今後もより迅速で安定的・効率的な取引・決済チャネルを提供し、国内外の市場の多様なニーズを満たすことを目指すとのことだ。
なお10月17日には、中国海洋石油総公司(CNOOC)とフランスのエンジー(Engie)がSHPGXでe-CNY決済による国際LNG(液化天然ガス)取引を完了している。
デジタル人民元について
中国人民銀行(PBoC)が発行する中央銀行デジタル通貨(CBDC)であるデジタル人民元(e-CNY)は2019年の開始以降、着実に利用拡大されている。
昨年1月には、モバイルウォレット「WeChat Pay」に対応すると現地メディアによって報じられた。また同年6月には、中国の広東省深圳市の市民を対象に、3000万人民元(約5.7億円)相当が抽選配布されている。
今年7月にはシンガポールのDBS銀行の中国本土子会社であるDBSグループ・チャイナが、e-CNYをサポートする新たな決済システムを立ち上げたことを発表。
5月には、仏金融機関のBNPパリバが中国銀行(BOC)と提携し、法人顧客向けにe-CNY普及に乗り出すと香港現地メディアが報じていた。
なお国際市場における人民元の利用は拡大しており、今回のe-CNYによる原油取引はこの動きに勢いをつける一助となりえるかもしれない。
ちなみに中国の中央銀行である中国人民銀行(PBoC)が発表した最新のデータによると、今年第1~3四半期の「当座預金」による国境を越えた人民元決済額は10兆1,600億元(1兆3,900億ドル:約207兆710,6億円)に上り、前年同期比で35%増加しているという。
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参考:上海背湯天然ガス取引所
デザイン:一本寿和
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