暗号資産専門メディアのブラックロックETF承認との「誤報」でビットコイン(BTC)一時急騰、すぐ下落

現物ビットコインETF承認の「誤報」でビットコイン一時急騰

ビットコイン(BTC)価格が10月16日に突然急騰し、その後急騰以前の価格に戻した。

米資産運用会社ブラックロック(BlackRock)が、規制当局より現物ビットコインETF(上場投資信託)の承認を受けたという米暗号資産(仮想通貨)メディアのコインテレグラフ(Cointelegraph)による報道を否定したためだ。

BTC価格は、8月以来の高値となる29,900ドルまで10%も上昇したのち、最終的に3.82%高の28,211ドルで取引された。

なお記事執筆時点においてBTC価格は、28,367ドルの値を付けている(2023.10.17 10:30コインマーケットキャップ調べ)。

コインテレグラフは16日、米証券取引委員会(SEC)がブラックロックによる現物ビットコインETFの申請を承認したと公式X(旧Twitter)で速報ニュースとしてポスト。しかし、その後同メディアはポストを一部修正し、その後削除した。

なお当初のポストに対しフォックスビジネス(Fox Business)の記者がXで、ブラックロックがこの報道を否定したと発言。これによりBTC価格は急落した。

ブラックロックはその後ロイターに、「iシェアーズ・ビットコイン・トラスト(iShares Bitcoin Trust)」の申請は、未だSECの審査中であると伝えた。またSECに近い情報筋からも、申請がまだ保留中であることを確認した。

コインテレグラフはXへの投稿で、「不正確な情報の流布につながった」と先の投稿を謝罪。内部調査を行いその結果を公開するとし、今回の報道について誤報を認め、その後に調査結果と謝罪表明の記事を公開した。

イートロ(eToro)のグローバル・マーケット・ストラテジストであるベン・レイドラー(Ben Laidler)氏は、「暗号資産市場は、ビットコインETFの承認の噂で早々と上昇した。このことは潜在的な良いニュースに対して、いかにBTC価格が敏感であるかを示した」と述べた。

現物ビットコインETFが承認されれば、暗号資産市場への投資は促進すると期待がされている。このセクターでは、保留中の幾つかのETF申請についてのニュースが待たれていた。

なおSECは、投資家を市場操作から守れることを申請者が示していないとして、これまで全ての現物ビットコインETFの申請を却下している。

英暗号資産関連会社エニグマセキュリティーズ(Enigma Securities)のリサーチ責任者、ジョセフ・エドワーズ(Joseph Edwards)氏は「今回の値動きは、ビットコインの市場がいかに現物ETFの登場に執着しているかを示している」と述べている。

またデジタル資産ウォレットのイールドアップ(Yield App)のチーフ・インベストメント・オフィサーであるルーカス・キーリー(Lucas Kiely)氏は、「SECが現物ビットコインETFの申請を承認したという今回のニュースは、誤報であった。しかし規制当局が、この申請に対して最終決定を下す際の良い予行演習でもあった」と語っている。

「ヘッドライン・リスク(メディアへの露出度や風評に関するリスク)は、SECの発表を前に多くのボラティリティを生み出しており、決定次第で市場は大きく動くため、誰もが先手を打とうとしている」と同氏は語った。

ロイター通信は10月13日、暗号資産業界が注視してきたグレースケール・インベストメンツ(Grayscale Investments)による「現物ビットコインETFの創設申請を却下したのは誤りであった」とする最近の判決を、SECは上訴しないと最初に報じた。

ワシントンのコロンビア特別区控訴裁判所は来週中にも、この訴訟の判決をどのように執行すべきかを明記した命令を出す見込みである。その命令の中には、グレイスケールの申請を再検討するようSECに指示することも含まれるであろう。

関連ニュース

※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Bitcoin gives up gains after BlackRock denies ETF approval report
Reporting by Tom Wilson and Elizabeth Howcroft in London and Hannah Lang in Washington; additonal reporting by Suzanne McGee; Editing by Tommy Reggiori Wilkes, Sharon Singleton and Josie Kao
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
images:Reuters

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

合わせて読みたい記事

【11/1話題】イミュータブルがSECからウェルズ通知、アルゼンチンLABITCONFがサトシの正体明かすと告知など(音声ニュース)

イミュータブルが米SECからウェルズ通知受ける、「IMX」証券性の疑いか、アルゼンチンのカンファレンス「LABITCONF」、サトシ・ナカモトが正体明かすと告知、フランクリン・テンプルトン、「オンチェーン米国政府マネーファンド」をイーサL2「Base」に展開、Crypto[.]comがSEC登録ブローカーディーラー買収、米国ユーザーに株式取引機会提供へ、セキュリタイズ、トークン化資産の管理機能統合の「Securitize Fund Services」立ち上げ、米マイクロストラテジー、「21/21プラン」で420億ドル調達を計画、ビットコイン購入資金で、BIS、中国主導の「中銀デジタル通貨」プロジェクトから離脱、Sui対応の携帯型ゲーム機「SuiPlay0X1」、格闘ゲーム『サムライスピリッツR』リリースへ、ヴィタリック、イーサリアム最後のチェックポイント「ザ・スプラージ」解説、バイナンス共同創業者、「Web3が身近な社会実現目指す」と語る。伝統的金融や規制当局と協力の姿勢も=BBW

広告

アルゼンチンのカンファレンス「LABITCONF」、サトシ・ナカモトが正体明かすと告知(有識者コメントあり)

アルゼンチンで11月1日から開催されるビットコイン(Bitcoin)のカンファレンス「LABITCONF(Latin American Bitcoin & Blockchain Conference)」にて、ビットコインの考案者であるサトシ・ナカモトが自身の正体を明らかにすると、同カンファレンスの公式Xよりプレスリリースが出された