オーストラリア中銀、トークン化によるコスト削減の可能性を指摘=ロイター

数十億ドルのコスト削減に役立つ可能性

オーストラリアの中央銀行が、トークン化された通貨は国内金融市場における数十億ドルのコスト削減に役立つ可能性があると10月16日述べた。

オーストラリアの中央銀行であるオーストラリア準備銀行(Reserve Bank of Australia:RBA)の総裁補佐であるブラッド・ジョーンズ(Brad Jones)氏は、トークン化に関するスピーチの中で、同銀行の重要な優先事項は、様々な形態のデジタルマネーとインフラがトークン化された資産市場の発展をどのようにサポートできるかを評価することだと述べた。

オーストラリア政府は10月16日、暗号資産およびデジタル資産を規制するための提案の概要を別途発表。この提案では、取引プラットフォームは既存のオーストラリア金融サービス法の対象となり、取引プラットフォーム運営者はオーストラリア金融サービス(AFS)ライセンスを取得する必要がある。

この提案には「トークンを保有するための最低基準」・「カストディ・ソフトウェアの基準」・「トークンで取引を行う際の基準」などが含まれる。

RBAの金融システム部門を率いるジョーンズ氏は、トークン化は流動性の向上を通じて、オーストラリアの資本市場の発行体に年間約130億豪ドル(約82億ドル:約1兆2,257億円)の暗号資産取引の節約をもたらす可能性があると述べた。

また、取引量の増加やアトミック決済のメリット(特にクロスボーダー決済)により、取引手数料を10億~40億豪ドル(約944億~3,775.7億円)節約できる可能性がある。

なおアトミック決済とは、支払いと資産を瞬時に同時交換する決済方法のことだ。

RBAは、独自の中央銀行デジタル通貨(CBDC)を発行し、トークン化された資産市場におけるアトミック決済の促進に役立てるかどうかを検討してきた。

ホールセール型CBDCは、トークン化された銀行預金や資産担保型ステーブルコインなど、民間が発行する新しい形態のデジタルマネーを補完する役割を果たす可能性もある。

ジョーンズ氏は、「私たちの包括的な立場は、デジタルマネーの機能的な形態や、将来的にオーストラリア経済を最もよく支えることができる支援インフラに関して、私たちはオープンマインドであり続けるということです」と述べた。

ジョーンズ氏は、RBAと財務省は2024年中頃に共同報告書を発表し、オーストラリアにおけるCBDC研究の現状把握と今後のロードマップを示す予定だと述べた。

「デジタル時代のオーストラリア経済をより良くサポートするために、通貨制度をどのように整えていくかという問題は、現在、銀行にとって重要な優先事項になっている」とジョーンズ氏は付け加えている。

関連ニュース

Australia central bank sees possible cost savings in tokenisation SYDNEY
Reporting by Wayne Cole; Editing by Jamie Freed
翻訳:髙橋知里
※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
images:Reuters

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

合わせて読みたい記事

【11/15話題】DMM CryptoのSeamoon Protocolが中止、FBIがポリマーケットCEO宅を捜索など(音声ニュース)

DMMのweb3事業「Seamoon Protocol」がプロジェクト中止、フランクリン・テンプルトン、「オンチェーン米国政府マネーファンド」をイーサリアムに展開、FBIが「ポリマーケット」CEO宅を家宅捜索、携帯電話や電子機器を押収、英レボリュート、暗号資産取引プラットフォーム「Revolut X」をEU30カ国に拡大、テザー、幅広い資産のトークン化プラットフォーム「Hadron by Tether」提供開始、コインベースがユートピアラボ買収、「Coinbase Wallet」のオンチェーン決済機能拡充へ、イーサL2「リネア」、ガバナンス分散化に向け非営利団体を設立、LINEA発行へ、イーサリアム研究者、コンセンサス層の再設計で「Beam Chain」提案

広告