米コインベース、米国内国歳入庁提案のデジタル資産含む税制に懸念示す=報道

そのままでは無制限の追跡を課すことになる

米大手暗号資産(仮想通貨)取引所のコインベース(Coinbase)が、米国内国歳入庁(IRS)の提案している税制に懸念を示していると10月12日各社が報じた。

ブロックチェーン専門メディアのザ・ブロック(The Block)の報道によれば、コインベースは10月12日にIRSに宛てた14ページに渡る書簡にて、デジタル資産取引の総売上高と基礎報告に関する税務規制案の性質と適応範囲についての懸念を示したという。

なお米コインデスク(CoinDesk)によれば同書簡は、コインベースの税務担当副社長であるローレンス・ズラトキン(Lawrence Zlatkin)氏によるものだという。

コインベースは書簡にて「提案されている規制は、そのままでは米国人の日常生活に前例のない、無制限の追跡を課すことになる。この規制案は、米国人の日常生活における極めてプライベートな医療に関する選択や、コーヒーを購入する時でさえも、政府による監視を可能にするものだ」と指摘している。

コインベースによればこの財務規制法案は「理解しがたく、不当な負担のかかる新たな報告義務」を課すものだと主張。また、「正当な理由もなければ、実施可能でもない、過度に広範なものだ」と非難した。

財務省とIRSは10月30日までコメントを受け付け、また11月7日から8日にかけ、この提案に関する公聴会を開催する予定だ。コインベースは追加で送付する予定の書簡で、より詳細な見解と技術的なコメントを提供するつもりだと伝えている。

また米大手ベンチャーキャピタルのアンドリーセン・ホロウィッツ(Andreessen Horowitz:a16z)は、財務省とIRSに対し10月12日にコメントを提出。そのコメントにて「財務省及びIRSに対し、すべての市場参加者および利害関係者が本提案を検討し、 フィードバックを行うための十分な時間を確保するため、意見募集期間を少なくとも60日間延長することを要望する」と述べている。

規則案について

財務省は8月29日、同規則案を公表。この規則案は、フォーム1099-DA(Form 1099-DA)と呼ばれる新しい納税申告書案で、納税者が税金を支払う必要があるかを判断するためのものであり、暗号資産利用者が利益を把握するために複雑な計算をする必要がなくなるよう支援するものだという。

また財務省によれば、デジタル資産のブローカーにも、債券や株式など他の金融商品のブローカーと同様の情報報告ルールが適用されることになるとのことだ。

同法案では、「ブローカー」の定義には、中央集権型と分散型のデジタル資産取引プラットフォーム、暗号資産決済処理業者、ユーザーがデジタル資産を保管する特定のオンラインウォレットが含まれる。このルールは、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)、NFTも対象となる。

ブローカーはIRSとデジタル資産保有者の双方にフォームを送付し、納税準備を支援しなければならない。

上院議員は迅速に進めるよう求める

またエリザベス・ウォーレン(Elizabeth Warren)上院議員(マサチューセッツ州選出)ら民主党の上院議員たちは10月10日、IRSに独自の書簡を送り、業界の苦情を一蹴するよう助言した。

議員たちの懸念は、提案された規則が施行されるまでに時間を要することであり、「可能な限り迅速に」規則案を推進するよう求めているという。

上院議員らは書簡にて「行政当局の規則案の実施がこれ以上遅れることを制限することは、規制逃れをしようとする業界の努力に対抗し、法律を遵守する納税者に明確性を提供し、慢性的に税金を回避している業界から数十億ドルの税収を生み出すことになる」と述べている。

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参考:ザ・ブロックコインデスク連邦登記簿a16zのコメント
images:Reuters

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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