長寿研究の「VitaDAO」、初のスピンアウト企業を立ち上げ

VitaDAOがMatrix Biosciences立ち上げ

長寿研究へ資金を提供するDeSci DAO(分散型科学の自律分散型組織)「VitaDAO(ヴィータダオ)」が、バイオテクノロジー企業Matrix Biosciences(マトリックス・バイオサイエンス)の立ち上げを10月9日発表した。

なおMatrix Biosciencesの立ち上げは、ロチェスター大学の老化研究所の共同所長であるヴェラ・ゴルブノヴァ(Vera Gorbunova)博士との共同研究を支持する「VitaDAO」コミュニティ全体での投票および承認により、決定されたとのこと。

同社は「VitaDAO」による初のスピンアウト企業になるとのことだ。

「VitaDAO」は、Matrix Biosciencesの立ち上げに際し、初期資金として30万ドルを提供したという。2024年初頭にはさらなる資金が提供される予定だという。なおこの資金提供は、研究開発プロジェクトに関連するIP権をNFT化した「IP-NFTs」を分割し、売買することにより実施される予定とのことだ。

なおMatrix Biosciencesは、癌と老化に関連した疾患に対する高分子ヒアルロン酸(HMW-HA)治療薬の開発に専念する企業になるという。

通常のネズミの寿命が3年程度であるのに対し、ハダカデバネズミは40年も生きる長寿のネズミであり、またハダカデバネズミは他の動物と異なり、加齢とともに生じる神経変性や心血管疾患、関節炎、がんなどの病気にかかることはほとんどないとのこと。

このハダカデバネズミは他のマウスや人間と比較して、体内に約10倍のHMW-HAを蓄えていることが分かっている。またハダカデバネズミの細胞からHMW-HAを除去すると、ガン細胞の発生リスクが上昇したことも研究により明らかになっている。

なおゴルブノヴァ博士はこれまで、ハダカデバネズミが老化や病気から身を守るためのメカニズムについて数十年にわたる研究を行っている。

「VitaDAO」は、人間の健康寿命の延長を目的として、アーリー段階の長寿研究プロジェクトに資金を提供し、長寿バイオテクノロジーのスタートアップ企業を独立させるために活動するイーサリアム(Ethereum)ベースの分散型組織である。現在「VitaDAO」のコミュニティには10,000人以上の研究者や支援者が参加しており、これまでに20以上のプロジェクトに400万ドル(約5.9億円)以上の投資を行っているとのこと。

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参考:VitaDAO
デザイン:一本寿和
images:iStocks/Funtap・wvihrev

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この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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