ジンバブエ中銀、金裏付けデジタル通貨が国内で利用開始

仲介送金税は外貨取引の半分

ジンバブエ共和国の中央銀行であるジンバブエ準備銀行(RBZ)が、金を裏付け資産としたデジタルトークン「ジンバブエ・ゴールド(Zimbabwe Gold:ZiG)」で国内取引の支払いや決済が可能になったと10月5日発表した。

発表によれば、中央銀行は「ZiG」専用口座を持っており、自国通貨や外貨での取引と同様に「ZiG」での取引を仲介するという。

また「ZiG」に適用される仲介送金税(IMTT)は、外貨建て取引に適用されるIMTTの半額となるとのことで、その旨の関連法文書が近く公表される予定とのことだ。

RBZのジョン・マングジャ(John Mangudya)総裁は、「ZiG」は価値保存手段としての役割も引き続き果たすと述べている。

また中央銀行は外部監査人のサービスを利用し、いつでも「ZiG」に金が供給可能であり、十分に入手可能であることを立証しているとのことだ。

なおRBZが金を裏付け資産としたデジタル通貨を導入する方針であることは、今年4月より報じられていた。

これは米ドルに対して下落を続ける現地通貨を安定させるためのジンバブエ政府の取り組みだという。

RBZは昨年7月、米ドル依存緩和とインフレ抑制のため、シリアルナンバーが入った22Kの金貨「モシ・オア・トゥニャ(Mosi-oa-Tunya)」を導入。同金貨は換金及び国際取引が可能だ。

ZiGは、金貨「モシ・オア・トゥニャ」を補完するものとして、価値の保存・取引のための代替手段の提供を行い、国内での取引に法定通貨として使用される予定だ。

ジンバブエ共和国のハイパーインフレ

ジンバブエ共和国はアフリカ大陸の南部に位置する国で、1980年に英国より独立。おもな輸出品は貴金属・タバコ・鉱石・ニッケル・鉄などだ。

2000年から2009年にかけてハイパーインフレが起こり、新たな紙幣の発行と通貨単位を切り下げるデノミネーション(デノミ)が繰り返された結果、2009年1月には100兆ジンバブエドル紙幣が発行された。その後もデノミが行われたが、通貨としての価値をほとんど失い、同年4月12日をもって発行が停止された。

その後2019年6月には、ジンバブエドル(RTGSドル)を唯一の法定通貨として再導入したが、ハイパーインフレによる紙幣不足のため、2020年3月より再び米ドルの流通が暫定的に認められ今に至る。

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デザイン:一本寿和
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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者