ケニア政府の特別調査委員会、ワールドコインの事業停止を求める

関連ウェブサイトIPアドレスのブラックリスト化も

暗号資産(仮想通貨)プロジェクト「ワールドコイン(Worldcoin)」の活動を調査しているケニア政府の合同特別調査委員会が、規制当局に対し、ケニアでの「ワールドコイン」の事業停止を勧告している。ケニア議会が9月30日に発表した報告書にて明らかとなった。

ケニア政府は8月2日、政府機関が公共の安全に対する潜在的なリスクを評価する期間を設けるため「ワールドコイン」のケニア国内での活動を一時停止したと発表。その後ケニアデータ保護局はプロジェクトに関して「多くの正当な規制上の懸念」が見つかったとの声明を出していた。

またケニアで「ワールドコイン(Worldcoin)」の活動を調査する合同特別調査委員会が結成されたことは、現地紙により8月21日報じられていた。

今回提出された報告書によれば、ワールドコインは5月に出された停止命令を無視し、ケニア居住者の個人情報収集を続け、その中には未成年の情報も含まれるおそれがあると指摘されている。

特別委員会は、規制当局であるケニア通信庁に対し、「(ワールドコイン関連会社である)ツールズフォーヒューマニティ(Tools for Humanity Corp)とツールズフォーヒューマニティ・ドイツ(Tools for Humanity GmbH Germany)によるワールドコインの暗号資産プラットフォームを無効にすべきであり、関連ウェブサイトのIPアドレスをブラックリストに載せることも含め、無効にすべき」との意見を報告書にて述べている。

また、暗号資産と暗号資産サービス・プロバイダーを規制する法的枠組みができるまで、両社の「ケニアにおける物理的な存在」を差し止めることも特別委員会は求めている。

規制当局による調査対象に

ケニア現地メディアは8月7日、ケニア警察がワールドコインのナイロビ倉庫を強制捜査したことを報道。ケニア警察がワールドコインの倉庫から書類や機械を押収し、分析のためワールドコインのデータを刑事捜査局本部に持ち込んだ様子が伝えられていた。なお押収した機械には、ケニア人の機密情報が保存されていると思われると報じられている。

またワールドコインの情報収集についてはケニア以外の国々の規制当局からも調査対象となっている。

7月25日には、英国のデータ規制機関の情報コミッショナーズ・オフィス(ICO)が「ワールドコイン」を調査すると発表。

7月28日には、フランスのデータ保護機関(CNIL)がワールドコインのデータ収集の合法性を疑わしいとして、調査していることが各報道機関によって報じられた。なお同調査は、ドイツのバイエルン州のプライバシー規制当局が監督権をもつという。

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参考:ケニア議会
デザイン:一本寿和
images:Reuters

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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