丸紅と常陽銀行出資のデジタル証券準備会社子会社ら、新たに「プロ向け不動産STOファンド」組成完了

デジタル証券準備会社子会社らが新たに「プロ向け不動産STOファンド」組成完了

デジタル証券準備株式会社(DS社)および同社システム子会社のオーナーシップが、新たな「プロ向け不動産STOファンド」の組成完了を9月29日発表した。

「プロ向け不動産STOファンド」は、「匿名組合出資持分」をブロックチェーン技術によりセキュリティトークン(ST/証券トークン)化したもの。なお「匿名組合出資持分」は、匿名組合契約に基づいて行う投資及びその金額のこと。またST化にはOS社が開発した不動産STOシステム「OwnerShip(オーナーシップ)」が用いられた。

発表によると今回の「プロ向け不動産STOファンド」は、DS社が設立したrengaプロ第1号合同会社が適格機関投資家等特例業務に係る届出を行ったうえ組成完了したとのこと。なおrengaは、DS社の不動産STOファンドのブランド名となる。

今回の「プロ向け不動産STOファンド」組成にあたっては、米拠点の投資ファンド運用会社ブラックストーングループ(The Blackstone Group)と、その関連会社が運用または投資アドバイザーを務めるファンドが対象不動産の売り手になったという。そしてDS社の株主である常陽銀行が「ノンリコースローン」に取り組み、名古屋銀行が適格機関投資家として参加した。またオリエントコーポレーションの100%子会社であるオリコエステート等が、特例業務対象投資家として同ファンドへ参加しているとのことだ。なお「ノンリコースローン」とは、借入人である合同会社が保有する資産のみを担保にローンを提供する手法である。

ちなみに常陽銀行は、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)ファンドであるJレイズ投資事業有限責任組合を通じてDS社に出資している。

また発表によると今回の「プロ向け不動産STOファンド」は、東京都の「デジタル証券(セキュリティトークン)発行支援事業」の補助金対象事業として申請中とのことだ。

DS社は引き続き、政府が掲げる「貯蓄から投資へ」を健全に推し進めるべく、国民の安定的な資産形成に資する次世代の不動産証券化商品提供の実現を目指していくとのことだ。

デジタル証券準備株式会社(DS社)は、丸紅・オリックス銀行・常陽銀行が昨年10月に出資した企業(常陽銀行は同行のCVCファンド「Jレイズ投資事業有限責任組合」を通じて出資)。

またオーナーシップ(OS社)は、投資型クラウドファンディングシステムなどを提供するグローシップ・パートナーズの親会社であるグローシップとデジタル証券準備会社が共同で2021年10月に設立した企業だ。

DS社およびOS社は昨年12月、「匿名組合出資持分」をST化した「プロ向け不動産STOファンド」を日本発の取り組みとして組成完了している。このファンドは、DS社が設立したrenga第0号合同会社が適格機関投資家等特例業務に係る届出を行ったうえで、組成完了したとのことだ。

STOとは

STOとは、発行会社が従来の株式や社債等に代わり、ブロックチェーン等の電子的手段を用いて発行するトークンに株式や社債等を表示する「セキュリティトークン(ST)」で資金を調達するスキームだ。2020年5月1日の金融商品取引法改正及び関連する政省令の改正施行により「電子記録移転有価証券表示権利等」として規定され、法令に準拠した取扱いが可能となっている。

これによりセキュリティトークンは「電子記録移転権利」と規定され(金商法2条3項)、金融機関での取り扱いが可能になっている。

ただし金商法に該当しないセキュリティトークンとして、「不動産特定共同事業法に基づく出資持分をトークン化したもの」や会員権などの「アセットの権利をトークン化したもの」も定義されている。

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参考:デジタル証券準備会社
デザイン:一本寿和
images:iStocks/monsitj

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この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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