2025年までの行動計画を発表
上海市が、ブロックチェーン開発へ向けた2025年までの行動計画を9月26日発表した。
上海科学技術委員会の発表によれば、「上海ブロックチェーン主要技術研究特別行動計画(2023年~2025年)」と題されたこの計画は、上海の地方行政機関である上海市人民政府の承認を得て交付されたという。
同計画において上海市は、ブロックチェーン・システムのセキュリティや暗号アルゴリズムなどの基本理論、ブロックチェーン専用プロセッサ、スマートコントラクト、クロスチェーン、ストレージ、プライバシー・コンピューティング、規制の各分野で飛躍的進歩を遂げる意向だ。
またこの技術開発で上海市は、経済を発展させ、世界的な影響力を持つ新世代のブロックチェーンイノベーションエコシステム育成を目指すとのこと。
その他にも、政府業務、国境を越えた貿易、サプライチェーン、金融、メタバース、データ要素の流通といった分野の発展をサポートすることができると声明では伝えられている。
また上海市は、ゼロ知識証明(zero-knowledge proof:zkp)の開発支援にも着手するという。なおゼロ知識証明とは、ある主張が正しいという事実を主張内容を明かすことなく、第三者に証明することができる暗号学のプロトコルだ。
具体的には、ゼロ知識イーサリアム仮想マシン (zk-EVM) などの既存技術と組み合わせて、一般的なゼロ知識証明の性能向上を目指すとのことだ。
声明によれば2025年までに、ゼロ知識証明アルゴリズムの証明生成の効率は、Plonkのような同様の国際的なプロトコルと比べて2倍改善される見込みだという。
なおPlonkとはzk-SNARKsのプロトコルのひとつ。zk-SNARKsはゼロ知識証明の中のひとつの形式だ。
また政府は人材チームの構築強化にも注力する方針だという。
ブロックチェーン理論研究およびブロックチェーン理論研究におけるハイエンド人材のグループを集め、国際科学技術フロンティアをリードするエンジニアリングを推進するという。
大学、科学研究機関、企業などと協力し、ブロックチェーンの若手人材の育成への取り組みを強化し、若い人材が主導権を握り指導的な役割を果たすことを支援するとのことだ。
ブロックチェーン開発に注力の中国
中国では2021年9月にすべての暗号資産取引が禁止されているが、中国企業によるブロックチェーン開発は盛んだ。
今年2月には、中国の科学技術省が「国家ブロックチェーン技術革新センター」の設立を承認したと現地メディアが報道。中国政府はブロックチェーン技術の開発は行うものの、引き続き暗号資産は禁止する姿勢だと報じられていた。
ただし香港においては、個人投資家による暗号資産の取引が解禁されており、暗号資産取引所などの暗号資産サービスプロバイダー(VASP)に対する新たなライセンス制度を導入する法律が6月1日より施行されている。
なお中国のテクノロジー・コングロマリット、アリババグループ(Alibaba)傘下のアント・グループも2020年7月に独自ブロックチェーン「アント・チェーン(AntChain)」を立ち上げている。
9月にはアリババグループのフィンテック関連企業であるアント・グループ・デジタル・テクノロジーズ(Ant Group Digital Technologies)が、香港と海外市場を対象としたブロックチェーン・サービス「ZAN」を新たに開始している。
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参考:上海市人民政府
デザイン:一本寿和
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