Web3開発者向けのブロックチェーンブランドを立ち上げ
中国のテクノロジー・コングロマリット、アリババグループ(Alibaba)のフィンテック関連企業であるアント・グループ・デジタル・テクノロジーズ(Ant Group Digital Technologies)が、香港と海外市場を対象としたブロックチェーン・サービス「ZAN」を新たに開始した。上海の外灘(バンド)で開催されたカンファレンス「インクルージョン・バンド大会2023(Inclusion・外灘大会2023)」にて、9月8日発表された。
「ZAN」の最高経営責任者(CEO)であるジャン・ウェイ(Zhang Hui)氏は、「アント・グループ・デジタル・テクノロジーズでは、アプリケーション開発プロセスにおけるトレンドや効率性、セキュリティ関連のボトルネックを目の当たりにしてきた」と述べ、「これらの課題解決のために、『ZAN』はWeb3の技術と製品の研究開発に投資し、コミュニティをサポートするために、より広範で信頼性の高い技術サービスを提供し、Web3の開発とイノベーション加速のためにパートナーと協力することに注力している」とコメントした。
「ZAN」について
「ZAN」はアント・グループ・デジタル・テクノロジーズ提供のWeb3製品およびサービスのテクノロジー・ブランドだ。ビジネス革新のためのサービスと、Web3向け開発プラットフォームを提供しており、電子顧客情報(eKYC)、アンチマネーロンダリング(AML)、Know-Your-Transactions(KYT)を含む一連の技術製品群を持つという。
なお「ZAN」のe-KYC(電子本人確認)機能は、香港の暗号資産企業ハッシュキー・グループ(HashKey Group)がIDデータ集約サービスに採用しているとのこと。
さらに「ZAN」は開発者向けに、セキュリティ、パフォーマンス、コスト、ユーザーエクスペリエンスに関連するWeb3アプリ開発の問題を効率的かつ確実に処理するスマートコントラクトレビュー(SCR)サービスや、dApps構築のための高性能なノードサービス、開発効率を向上させる強化されたAPIやその他のツールを提供しているという。
なお「ZAN」では今後さらに多くの製品を発表予定とのことだ。
ブロックチェーン開発に注力の中国
中国では2021年9月にすべての暗号資産取引が禁止されているが、中国企業によるブロックチェーン開発は盛んだ。
今年2月には、中国の科学技術省が「国家ブロックチェーン技術革新センター」の設立を承認したと現地メディアが報道。中国政府はブロックチェーン技術の開発は行うものの、引き続き暗号資産は禁止する姿勢だと報じられていた。
ただし香港においては、個人投資家による暗号資産の取引が解禁されており、暗号資産取引所などの暗号資産サービスプロバイダー(VASP)に対する新たなライセンス制度を導入する法律が6月1日より施行されている。
なおアリババグループ傘下のアント・グループも2020年7月に独自ブロックチェーン「アント・チェーン(AntChain)」を立ち上げている。
関連ニュース
- アリババクラウド、ゲーム開発者向けブロックチェーンラボを渋谷に開設へ
- ミステンラボがアリババクラウドと提携、「Sui(SUI)」のweb3エコシステム開発に向け
- 中国政府、ブロックチェーン研究センター設立を承認=報道
- アリババのアントチェーン、NFT譲渡に独自ルール。中国規制に対応のため
参考:Ant Group
images:iStocks/scyther5・Peshkova