TISがNFT活用の実証実験をベトナムのカフェにて実施、Web3技術で飲食店業界の課題解決へ

スシトップマーケティングの「NFT One Shot」を活用

TISインテックグループのTISが、ベトナムのカフェにてweb3技術を使ったNFTクーポンの実証実験を行ったことを9月8日発表した。

今回の実証実験はTISが全体の企画運営を行い、スシトップマーケティング(SUSHI TOP MARKETING)提供の「NFT One Shot」を使用して行われた。TISが出資するティンヴァンテクノロジーズ(TinhVan Technologies JSC.)のサポートの下、ベトナムのハノイにある「ビブリオカフェ(BiblioCafe)」にてNFTを活用したクーポン施策を行ったという。

実証実験では、ビブリオカフェの公式Facebookと、店頭で合わせて6種類のNFTを配布。公式Facebookからは先着500名の顧客へ1種類のNFTを配布し、そのNFTを取得した顧客がカフェに来店するとドリンクが無料で提供される。

さらに、カフェでドリンクを購入した顧客は、購入したドリンクに応じ、NFTを受け取るためのカードが受け取れる。そのカードでスタンプラリーページにアクセスし、NFTを集めていくと、次回利用時にドリンクを無料で受け取れるとのことだ。購入した顧客が受け取ったカードには、「NFT One Shot」の技術が活用されており、カードに印刷されたQRコードを読み取ることでNFTを1回のみ取得できる仕組みだ。

Web3技術活用で飲食店業界の課題にアプローチ

TISは、企業や地方自治体との協業や、Web3パートナー・事業戦略パートナーとの共創で、新たなビジネスの柱の確立を目指す企業だ。

4月には旭化成と共同で構築したブロックチェーン活用の偽造防止デジタルプラットフォーム「Akliteia®(アクリティア)」が、食品偽装問題へのソリューションとして活用開始した。

また7月には、トークン発行型クラウドファンディングサービス「FiNANCiE」運営のフィナンシェと資本業務提携を締結している。

今回TISは、コロナ禍で影響の大きかった飲食店業界の課題解決に着目。web3技術を導入して消費者へ新たな体験を提供する実証実験として「ビブリオカフェ」でのクーポン施策を行ったという。

今回対象となった「ビブリオカフェ」は売上を伸ばすために中間価格帯から高価格帯へのシフトや新規顧客獲得を目指す一方、大学生利用の夏季閑散期の集客課題も抱えているという。また、ベトナムではブロックチェーン・web3がここ1、2年で注目されるものの、身近で使われていることはほとんどない現状があるため、日本の先行事例を活用することで注目を浴びるのではないかと考え、実証実験の実施に至ったという。

その結果、施策実施月の「ビブリオカフェ」全体の売上・販売数量・平均単価は、前年同月比および閑散月と通常月との差異のいずれも改善し、売上は前年同月比で6%アップ、閑散月と通常月の差異は10%改善したという。

また、特定ドリンク購入でもらえるNFTを複数集めると特典が付与される施策も同時に実施。このNFT付き特定ドリンクの平均単価はコーヒー+1.4%、ヨーグルトドリンク+2.7%と店舗全体平均を上回る単価アップを実現したという。

また、特定ドリンクは4人に1人がNFTを受け取ったとのことだ。

TISは今後も、NFTを経営課題の解決に活用し、収益面でも貢献できるマーケティングプロモーションを追及していくとしている。

関連ニュース

デザイン:一本寿和
images:iStocks/-GOCMEN–

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者