マイナンバーカードをデジタルウォレットと連携
「マイナウォレット」を開発中の国内企業a42x(エーヨンジュウニエックス)が、イーサリアム財団(Ethereum Foundation)が運営する助成プログラム「ERC-4337 Account Abstraction Grant Round」に採択を受けたことを9月8日発表した。
a42xは、デジタル認証基盤を活用したウォレットシステムおよび周辺システムを開発する企業だ。ブロックチェーン開発者コンペティションの「イーサグローバルトウキョウ2023(ETHGlobal Tokyo 2023)」にてファイナリストに選出された実績を持つ。
「マイナウォレット」は、マイナンバーカードをデジタルウォレットとして活用できるサービスだ。同サービスでは、マイナンバーカードをタッチするだけでデジタルウォレットを生成。マイナンバーカードに含まれる情報から唯一無二のウォレットアドレスを導出する仕組みをもつという。
また、マイナンバーカードをタッチするだけで暗号資産(仮想通貨)やNFT等のデジタル資産の送受信を行うことが可能とのこと。利用者は、保有するデジタル資産を確認する際にアプリをインストールすればよいため、デジタル資産を受け取るためにアプリの事前インストールや、ウォレットの設定を行うといったことは一切不要だという。
この他にも「マイナウォレット」では、デジタル資産の所有確認および認証認可が行えるとのことだ。
さらに発表によると現在a42xは「マイナウォレット」において、次の3つの開発を進めているという。
1つ目は 「eKYC(デジタル本人確認)機能」だ。公的個人認証サービス(JPKI)と連携することで、最高位の本人確認をウォレットレベルで実現させることを目指すとのこと。
次に、ERC-4337(アカウント抽象化)に準拠したスマートコントラクトとして、「リカバリー機能」、「セッションキー」、「利用限度額の設定」等、様々なウォレット機能の開発を進めているとのことだ。
3つ目は「ゼロ知識証明(zero-knowledge proof:zkp)を活用したマイナウォレットのプライバシー保護機能」だ。第三者に公開する情報を最小限にしながら、eKYCや年齢確認等を行う機能の実現を目指しているという。
なお「アカウント抽象化(AA:Account Abstraction)」は、イーサリアムブロックチェーン上での支払いにプログラム決済機能を付加する仕組み。「アカウント抽象化」を利用するとユーザーは、ガス代を任意のトークンで支払うことや、簡単に複数の端末でアドレスを共有できるなど多くの利点がある。
またゼロ知識証明とは、ある主張が正しいという事実を主張内容を明かすことなく、第三者に証明することができる暗号学のプロトコルだ。
なおa42xはその他にも、「マイナウォレット」の事業者向けソフトウエア開発キット(SDK)およびAPIの提供を予定しているという。
イーサリアム財団(Ethereum Foundation)は1月、同財団が実施する「Ethereum Foundation’s Ecosystem Support Program」を通じて、ブロックチェーン戦略政策研究所にグラント(助成金)を送っていた。
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