金融庁が来年度の税制改正要望を公表
金融庁が、令和6(2024)年度の税制改正要望を8月31日公表した。
主な要望項目は「資産所得倍増プラン及び資産運用立国の実現」、「世界・アジアの国際金融ハブとしての国際金融センターの実現」、「保険」、「暗号資産」の4つ。
「暗号資産」に関しては、金融庁と経済産業省との共同要望として、「第三者保有の暗号資産の期末時価評価課税に係る見直し」が挙げられている。
暗号資産に関する要望にあたり挙げられている「現状」として、「内国法人が有する暗号資産(活発な市場が存在するもの)については、税制上、期末に時価評価し、評価損益(キャッシュフローを伴わない未実現の損益)は、課税の対象とされている」と記載されている。
続けて「問題点」として「こうした取扱いは、ブロックチェーン技術を用いたサービスの普及やこれを活用した事業開発等のために、暗号資産を継続的に保有するような内国法人に対して、キャッシュフローを伴う実現利益がない(=担税力がない)中でも課税がなされるものとなっている」と述べられている。
そして今回、暗号資産に関する要望として、「Web3推進に向けた環境整備を図り、ブロックチェーン技術を活用した起業等を促進する観点から、法人(発行者以外の第三者)の継続的な保有等に係る暗号資産について、期末時価評価課税に係る見直しを進めること」と伝えられている。
なお今回の要望の中には「その他の要望項目」があり、ブロックチェーンに関わる項目として「トークン化社債等に関する振替債等と同等の税制措置」も挙げられている。
JVCEAとJCBAが提出した税制改正要望書
今年7月31日、日本暗号資産取引業協会(JVCEA)と日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)が共同で、「暗号資産に係る2024年度税制改正要望書」を取りまとめ、同日付で金融庁はじめ政府関係省庁へ提出したことを発表していた。
この要望書では、「分離課税」、「法人税」、「資産税」、「暗号資産同士の交換」についての要望が行われていた。
「法人税」の要望では、「第三者保有の暗号資産の期末時価評価課税に係る見直し」が挙げられており、今回の金融庁の要望については、この「法人税」の要望のみが挙げられたことになる。
なお「分離課税」は「暗号資産取引にかかる利益は20%の申告分離課税とすること等」、「資産税」は「相続により取得した暗号資産の譲渡時の譲渡原価の計算について、取得費加算の特例の対象とすること等」、「暗号資産同士の交換」については「暗号資産同士を交換したタイミングでは課税せず、保有する暗号資産を法定通貨に交換した時点でまとめて課税対象とすること等」が挙げられていた。
※詳細はこちら→JVCEAとJCBA、共同で「暗号資産に係る2024年度税制改正要望書」を日本政府へ提出
なおJVCEAは、暗号資産交換業及び暗号資産関連デリバティブ取引業の自主規制団体だ。資金決済法に基づく「認定資金決済事業者協会」と金融商品取引法に基づく「認定金融商品取引業協会」を兼ねている。
またJCBAは、パブリックブロックチェーンおよびWeb3.0のエコシステムを構成するステークホルダーが、日本国内において暗号資産、NFT、ステーブルコインなどのデジタル資産に関するビジネスを行うための環境整備を目的とする会員組織である。
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参考:金融庁
デザイン:一本寿和
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