ビットコインの価格も急騰
米国にて、現物ビットコインETFが承認される可能性が出てきた。
米控訴裁判所は米証券取引委員会(SEC)に対し、暗号資産(仮想通貨)運用会社グレイスケール(Grayscale)が申請する現物(スポット)ビットコイン上場投資信託(ETF)の承認拒否を取り消すよう命じた。
ワシントンD.C.の連邦控訴裁判所が8月29日に提出した意見書により明らかとなった。
意見書では、SECが2つのビットコイン先物ETPの上場は許可したにもかかわらず、グレイスケール申請の現物ビットコインETFを承認しなかった理由が十分に説明されていないと指摘。
控訴裁はSECに対し、「一貫した説明がない以上、同種の商品に対するこのような規制上の扱いは違法」とし、グレイスケールの現物ビットコインETFの再審査請求を認め、SECの命令を取り消すとの判決を下した。
これを受けビットコインの価格は急騰。24時間で5.42%上昇し、記事執筆時点で(2023年8月30日15:30)約400万円の値を付けている(コインマーケットキャップ調べ)。
グレイスケールはこの決定を、投資家にとって大きな進歩だとし、「これはアメリカの投資家、ビットコインのエコシステム、そしてETFの枠組みの付加的な保護を通じてビットコインへの投資を提唱してきたすべての人々にとって、記念碑的な前進だ」とコメント。裁判命令を慎重に吟味し、SECと次のステップを模索する予定だと伝えた。
なおSECは今後45日間、大法廷審理を要求することができる。大法廷審理では裁判官全員による再審理が行われる。
グレイスケールは6月、SECが恣意的に現物(スポット)ビットコイン上場投資信託(ETF)の承認拒否を続けているとし、ワシントンD.C.の連邦控訴裁判所へ訴えていた。
SECは6月、レバレッジ型ビットコイン先物ETFを米国において初めて承認した。SECによって承認されたのは、米ボラティリティシェアーズ(Volatility Shares)による「2x Bitcoin Strategy ETF」。2倍のレバレッジを効かせたビットコイン(BTC)の先物を運用するETFとなる。同ETFは「CBOE BZX Exchange」にティッカーシンボル「BITX」にて上場。6月27日より取引が開始されている。
これを受け米国では、同国において初めてレバレッジ型ビットコイン先物ETFが承認されたことにより、今まで承認が下りなかったビットコイン現物ETFが取り扱われる布石になるのではないかと話題になっていた。
グレイスケールは訴えの中で、「SECがレバレッジ型ビットコイン先物ETP(上場取引型金融商品)の取引開始を許可したという事実は、SECが恣意的に現物ビットコインETPをビットコイン先物ETPとは異なるものとして扱い続けていることを示している」とし、「現物ビットコインETPに対するSECの差別的態度」を排除する唯一の方法は、「申請されている現物ビットコインETP」を承認することだと述べていた。
関連ニュース
- グレイスケール、米SECのボラティリティ型ビットコインETF承認に抗議
- 米SECがファイルコイン(FIL)を有価証券と見なす、Grayscale報告で明らかに
- 元SEC委員長が現物ビットコインETFに言及、「条件満たせば承認せざるを得ない」
- 米SEC、「レバレッジ型ビットコイン先物ETF」を初承認
- グレイスケールがSECを提訴、ビットコイン現物ETF拒否に対し
参考:勝訴書類
デザイン:一本寿和
images:Reuters