SBI子会社の英B2C2、仏マーケットメイカーのWoortonを買収、EUでの拡大目指す

EU管轄内の顧客拡大へ

英暗号資産(仮想通貨)流動性プロバイダーのB2C2が、仏マーケットメイカーのウールトン(Woorton)を買収したと8月24日発表した。

発表によれば、この買収によりB2C2は、ウールトンの持つデジタル資産サービス業者(prestataires de services sur actifs numériques:PSAN)ライセンスを取得し、フランスの金融規制当局である金融市場庁(AMF:Autorité des marchés financiers)認可の元、EU(欧州連合)で事業展開が可能になるという。

B2C2は今回の買収を顧客範囲を強化するための戦略的買収と説明。同社は、暗号資産市場規制法案(MiCA/マイカ)導入にあわせて、EU管轄内の顧客にサービス提供ができるほか、英国、アジア太平洋地域、米国以外の顧客成長の機会を得るとのことだ。

なお今回の買収金額などは発表されていない。

ウールトンは2017年創設の企業で、現在96銘柄の取引と年中無休の流動性を提供する約250の顧客基盤をサポートしているという。また、暗号資産開発協会(ADAN)の共同設立者であり、フランスにおけるデジタル資産に適用される規制枠組みの起草に積極的に参加しているとのことだ。

B2C2のCEOであるニコラ・ホワイト(Nicola White)氏は、今回の買収を「B2C2の成長と進化の継続的な旅における重要なマイルストーン」だとし、「この買収がB2C2とEUの顧客基盤にもたらす可能性に期待する」と述べている。

B2C2のEMEA(ヨーロッパ、中東、アフリカ)責任者トーマス・レストウ(Thomas Restout)氏は「(ウールトンは)B2C2と同様にTradFi(伝統的金融)のバックグラウンドを持つが、暗号資産とデジタル資産にフォーカスしている。私たちは、EU市場の顧客にマルチアセットの幅広さと深さを提供する補完性の高いビジネスの融合を実現する」と述べた。

B2C2について

英国に本社を置き、米・日に拠点を持つB2C2 Limitedは、暗号資産取引において、大手取引所やヘッジファンド、ブローカー等に向けてグローバルに流動性を提供するマーケットメイカー事業を行っている企業だ。2020年12月にSBIファイナンシャルサービシーズが90%の株式を取得し、子会社化している。

MiCAについて

暗号資産市場規制法案(MiCA/マイカ)は昨年10月5日、欧州理事会にて可決された新法だ。MiCAは、EUの暗号資産サービスプロバイダーに向けて包括的な暗号資産市場規制を示す法案だ。

EU全メンバー国の財務大臣からなる経済金融問題理事会は5月、MiCAを採択した。これにより暗号資産の発行者・暗号資産取引所・ウォレットプロバイダーは、2025年1月までに登録・認証を受けなければならない。

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参考:B2C2
デザイン:一本寿和
images:iStocks/Muhammad-Farhad

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者