野村証券らのコマイヌ、ドバイ暗号資産規制当局より運用ライセンス取得

カストディサービス提供へ

機関投資家向けにデジタル資産のカストディサービスを提供するコマイヌ(Komainu Holdings Limited)が、ドバイ首長国の規制当局であるドバイ暗号資産規制機関(Dubai Virtual Asset Regulatory Authority:VARA)から運用ライセンスを得たと8月22日発表した。

これによりコマイヌはドバイのユーザーに対し、機関投資家向けのデジタルアセット担保管理サービス「コマイヌコネクト(Komainu Connect)」を通じ、機関投資家向けのステーキングや担保管理などのカストディサービスを提供できるようになったという。

「コマイヌコネクト」では、デジタル資産を、オンチェーンで検証可能な独立したカストディに保管したまま担保とすることができる。また、カストディに保管された資産で24時間365日取引を行うことが可能だ。

なお今回の運用ライセンス取得により、コマイヌはMVPライセンスを完全取得した格好となった。

MVPライセンスについて

MVPライセンスは、ドバイにおける暗号資産に関するサービス提供を行うにあたり、取得するべき免許だ。同ライセンスには3段階のプロセスがあり、暫定承認ライセンスから始まり、準備ライセンスに続き、運用ライセンスで最終となる。また各ライセンス取得にあたり事前登録も必要となる。

なお暗号資産の活動ライセンスとしては7つの区分が規制対象となっている。これには「アドバイザリー」、「ブローカー・ディーラー」、「カストディ(保管)」、「交換業」、「レンディング(貸し借り)」、「移転・決済」、「管理・投資サービス」がある。

コマイヌについて

コマイヌは、野村證券、デジタル資産管理会社CoinShares(コインシェアーズ)、デジタル資産セキュリティ会社Ledger(レジャー)の3社によって2018年に設立されたジョイントベンチャー(JV)だ。機関投資家向けの暗号資産カストディ事業は2020年6月から開始している。日本企業からは野村総合研究所(NRI)やクリプトガレージが出資している。

なおコマイヌは昨年11月にVARAよりMVP(Minimum Viable Product)ライセンスにおける準備ライセンスを取得していた。これによりコマイヌは、VARAからMVPライセンスの認可を受けた初の機関投資家向けデジタル資産カストディアンとなった。

VARAについて

VARAは、今年3月9日に公布されたドバイ暗号資産規制法により設置された暗号資産事業に関する規制当局だ。ドバイを含むアラブ首長国連邦(UAE)の暗号資産サービスプロバイダーのライセンス発行やコンプライアンス体制監督をする他、暗号資産取引所とサービスプロバイダーを規制して消費者保護を確保している。

ドバイにおける他社動向

ドバイは暗号資産関連企業において戦略的地域といえるだろう。

暗号資産取引所OKX(オーケーエックス)は昨年7月にMVP(Minimum Viable Product)の暫定ライセンスを取得。6月15日には、準備ライセンスを取得している。

暗号資産取引所クリプトドットコム(Crypto.com)も昨年6月に暫定ライセンスを取得したのち、今年3月に準備ライセンスを取得している。

7月31日、大手暗号資産取引所バイナンス(Binance)が、VARAより運用MVPライセンス(Operational Minimum Viable Product:Operational MVP)を取得。なおバイナンスの発表によれば、運用MVPライセンスを取得した取引所はバイナンスが初とのことだ。

8月2日には、野村ホールディングスの関連子会社「レーザーデジタル(Laser Digital)」のドバイ支部にあたる「レーザーデジタルミドルイーストFZE(Laser Digital Middle East FZE)」が、VARAから営業ライセンスを取得している。

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参考:コマイヌ
デザイン:一本寿和
images:iStocks/LuckyStep48

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者