テザー社がOmni、Kusama、BCH-SLPの「USDT」サポート終了へ

牽引力低下を理由に

テザー(Tether)社発行の米ドルステーブルコイン「USDT」における、オムニレイヤー(OmniLayer)、ビットコインキャッシュSLP(BCH-SLP)、クサマネットワーク(Kusama Network)の3つのブロックチェーンのサポートが終了することが8月17日発表された。

発表にてテザー社は、これら3つのブロックチェーンのサポートを停止する理由を「ブロックチェーンが長期間にわたって大きな牽引力を欠き、利用指標に回復の兆しが見られない場合、サポートの維持は非効率となり、セキュリティと監視を危険にさらす可能性がある」ためだと説明した。

オムニチェーンの貢献たたえる

また発表にてテザー社は、同社が使用した初めてのトランスポートレイヤーであったオムニチェーンについて言及。

USDTは2014年、ビットコインネットワーク上のトークン発行プラットフォームのオムニ(OMNI)で発行されており、これはビットコインネットワーク上で初のステーブルコイン発行となった事例であった。

テザー社は、オムニレイヤーサポート停止の決断の重要さを認識していると伝え、オムニチェーンがテザー社へもたらした功績と貢献を称えた。

決断に至った背景としてテザー社は、長きにわたってオムニチェーンが抱えていた、人気のあるトークンの不足や他のブロックチェーンでも「USDT」が利用可能なことから、多くの取引所が代替のトランスポートレイヤーを好むようになり、オムニレイヤーを使用するビットコインでの「USDT」の使用量が減少したという。

選択したブロックチェーンのセキュリティや使いやすさ、持続可能性を確保するために、セキュリティ・カスタマーサポート・コンプライアンス・規制監督などを慎重に評価するテザー社は、困難な選択を伴うとしてもオープンなプロセスを遵守するため、今回の決断に至ったのだという。

テザー社は8月17日をもってこれらブロックチェーン上での「USDT」発行は停止するが、最低でも今後12ヶ月間は、通常通りUSDT/Omni、USDT/Kusama、USDT/BCH-SLPの取引を継続するという。

またユーザーは、海外暗号資産(仮想通貨)取引所Bitfinex(ビットフィネックス)などのこれら資産をサポートするプラットフォーム上で他のチェーンと交換することも可能だ。

RGBの可能性についても言及

またテザー社は戦略的移行に着手することも発表。

テザー社は現在、ビットコイン・エコシステムのレイヤー2および3で動作するクライアント側の検証済みステートおよびスマート・コントラクト・システムであるRGBプロトコルの開発に積極的に貢献しているという。

同社は、RGBプロトコルがデジタル資産・スマートコントラクト・デジタル権利の新時代を切り開き、業界の主要プレーヤーから包括的な支持を集めると確信しているとの考えを示している。

RGBプロトコルは2017年に考案されたビットコインネットワーク上でスマートコントラクトを実現するためのプロトコルだ。RGBプロトコルは、ビットコインブロックチェーンだけでなく、ライトニングネットワークの機能性も拡張することから、ライトニングネットワーク上での分散型金融サービスの提供を可能にする技術として注目されている。

なおライトニングネットワークはビットコインネットワーク上に構築されたペイメントチャネルであり、ビットコインの高速かつ安価な送金を実現するレイヤー2技術である。

同社CEOのパオロ・アルドイーノ(Paolo Ardoino)氏は8月17日、X(旧Twitter)のポストにて「RGB上のUSDTが稼動すれば、世界はもう一つの超強力で拡張可能なビットコインレイヤー上のUSDTを目撃することになるでしょう。 RGBをまだ見ていないなら、ぜひ見てみることを強くお勧めします」と述べている。

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参考:テザー社
デザイン:一本寿和
images:iStocks/Ninja-Studio

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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